ペルー

世界の中心?インカ帝国の黄金郷!ペルーの世界遺産「クスコ市街」

インカ帝国は、アンデスにあった一大帝国です。今回ご紹介するペルーの世界遺産「クスコ市街」は、11~12世紀に建設されたインカ帝国の都。アンデス山脈の標高3360mに位置し、「黄金の都」と称されていたのです。謎めいたインカ帝国とここを征服したスペイン風の建築物軍が混在する不思議な魅力を放っています。

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「クスコ市街」とは?

かつて、クスコはインカ帝国の都が置かれた場所です。「クスコ」とはケチュア語で、「ヘソ」の意味。太陽神の子とされる皇帝が治めるインカ帝国は、太陽を崇拝する彼らと世界の宇宙観の中心だったのです。

4つに分けられたクスコの街並みは、インカの聖獣ピューマを象っているとの説があります。クスコの中心にあるアルマス広場から、カパックナニャンと呼ばれる総延長4万kmのインカ王道を整備し、飛脚を使ってインカの支配地域と連絡を取り合っていたようです。

15世紀半ばから後半ごろが、繁栄の頂点でした。金や銀の精錬技術に長けたインカ人は、神殿や宮殿広場の泉などを黄金で飾りました。眩いばかりに煌めき、まさに「エル・ドラド(黄金郷)」と呼ばれるに相応しい繁栄振りだったと伝わっています。

この黄金の国伝説を聞き侵略したのが、「太陽の沈まぬ帝国」と呼ばれたスペインでした。1533年にスペイン人のフランシスコ・ピサロにより、最後の皇帝アタワルパが処刑されます。ここにあった金銀財宝はスペイン本土へ持ち去られたのです。

そして、インカ人たちは山奥へと追いやられ、征服者のスペイン人たちは、インカの建物をことごとく破壊し、その上にバロック様式の教会や邸宅を作りました。スペイン風の街のあちらこちらに、インカ帝国の名残を感じる不思議な歴史都市となっています。

インカ帝国とスペインの、2つの帝国文化が入り混じった建造物群が、クスコを不思議で特別な街にしています。

ペルーの世界遺産「クスコ市街」は、1983年に世界文化遺産として登録されました。
登録基準は、文化遺産(ⅲ)(ⅳ)です。

アクセス

ペルーの玄関口「リマ」から、飛行機で約1時間。

「クスコ市街」の見どころ

クスコ観光の拠点は、インカ第9代皇帝パチャクティ皇帝の噴水がある「アルマス広場」。スペインの街の建設が始まったのは、ワカイバタとハウカイバタと呼ばれたインカの2つの広場があったこの広場でした。広場から南東方向にあるエイル・ソル通りが、クスコのメイン通りです。町の北側は丘になっており、サン・クリストバル協会からは街を一望できますよ。それでは、見どころをご紹介しましょう。

カテドラル

アルマス広場に面して立つ、クスコのシンボル的な存在のカテドラル。1550年から建設が始まり100年もの年月をかけて造られました。インカの創造神、ビラコチャ神殿があった場所でした。
屋根にある鐘は、南米で一番大きなもの。1659年に取り付けられ、深い鐘の音を響かせています。この鐘の音は、40kmまで届くようなんですよ!

ポトシの銀を300tも使った、主祭壇は必見です。400の宗教壁画の中でも、マルコス・サバダが描いた『最後の晩餐』は、一見の価値があります。キリストと十二使徒が、クスコの名物クイ(テンジクネズミ)をご馳走として食卓を囲んでいる、壁画は非常に興味深いものです。


両側には1536年に建てられた、ヘスス・マリアとエル・トリウンフォという、クスコ初の教会があります。11代皇帝ワイナ・カッパクの宮殿跡に建てられた、双塔の美しいラ・コンパニーア・デ・ヘスス教会も見る価値ありですよ!

サント・ドミンゴ教会

インカの太陽神殿跡に立つサント・ドミンゴ教会。インカ時代の神殿の石組みの中は、さらさらと清らかな水が流れる金の泉や黄金色に染まったトウモロコシ畑、等身大の金のリャマを連れた人物像など、黄金の世界が広がっていたとか。かつての祭壇にあった円盤状の黄金の太陽神像は、陽の光が反射し遠くからも神像が放つ神々しい陽光がみえたようです。
残念ながら黄金はありませんが、神殿を囲む素晴らしい石組みが残っています。これは、クスコの大地震では、教会は無残にも壊れてしまったのですが、この石組みは全く崩れなかったという有名な話もあります。

インカ時代の石組み

クスコの至るところに土台として残る、インカ時代の石組みが見られます。これは「カミソリの刃一枚も通さない」と言われるほど精巧で、現在の建物にも活かされています。一説によると、スペイン軍はこの石組みも壊そうとしていたのですが、頑丈で壊すことができず、土台や壁として使用したようです。幾度となく大地震に襲われても、インカの石組みは壊れなかったとか。

かつて、インカ・ロカの宮殿が建っていたとされる宗教美術博物館には、「12角の石」という有名な石組みがあるんです。一説によると、王の一族の12人の家族を、12角の石として表したとされています。とはいえ、四角ばかりの中に、たった一つ幾何学の複雑な12角の石を加えた根拠は何なのか?インカ人が私たちに残した何らかのメッセージなのでしょうか?

サクサイワマン

サクサイワマンは、クスコの中でも歴史ロマンを存分に感じられる遺跡です。クスコの北西に築かれた巨石の建造物は、古代城壁。スペインに反旗を翻したインカの2万の兵士たちは、籠城するも堅牢な城もろとも破壊されました。ここにあった多くの石は、スペインの街を造るために持ち去られています。

この遺跡造りには1日2万人を動員し、80年もの歳月をかけて造られました。3層の巨石が360mもの長さを誇っています。最も見るべきところは、内側の高さ約7m、重さが120トンもある巨石。精緻に積まれた見事な石組みの技術と、石の大きさに圧倒される巨石を見れば、インカ文明の素晴らしさを目の当たりにするはず。

他にも、クスコには、アンデネスと呼ばれる段々畑を始め、インカ時代に造られた橋やトンネル、灌漑用水路などが、現在も使用されています。生活の場のちょっとしたところに、必ずインカの名残がある、それがクスコ最大の魅力かもしれませんね。

まとめ

クスコの魅力の一つには、夜景があります。街頭のオレンジ色の光が石畳を染め上げ、マルクス広場の噴水は青く輝き、ライトアップされた建物も、息を飲むほどの美しさです。
また、毎年6月には、南米三大祭りの一つ、「インティ・ライミ(太陽の祭り)」も開催されています。インカ文化の息吹が、現在もここに暮らす人々の生活の中に残っています。

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