スペイン

情熱と悲哀の民族舞踊!スペインの無形文化遺産「フラメンコ」の魅力

フラメンコは、リズミカルで激しいステップに掻き鳴らされるギター、魂を震わせる歌声が一体となった、「情熱の国スペイン」のイメージそのものの伝統文化です。今回は、スペインを代表する民族舞踊「フラメンコ」の魅力をご紹介します。

 

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フラメンコとは


カンテ(歌)に加えて、ギターラ(ギター)とバイレ(踊り)が三位一体となった、スペインアンダルシアで始まったとされる民族舞踊です。

 

2010年にスペインの無形文化遺産に登録されました。激しくて切ないリズムとその情熱的な舞に、酔いしれる夜のひとときは、スペインならではの観光の醍醐味ですね。

 

アンダルシア地方の人々に、「あなたにとってのフラメンコとはどんなもの?」と聞くと、「フラメンコは人生」と回答する人が多いとか。日本人などがフラメンコを観賞する時、メインは踊りと思うでしょうが、実は「歌」なんです。

 

スペインでのフラメンコショーでは、「ギターと踊り」だったり、「歌とギター」という組み合わせや、「ギターのみ」で行われることも珍しくありません。

 

フラメンコの歴史

発祥の経緯は不明

スペイン南部のアンダルシア発祥と先ほど少し触れましたが、それ以外のはっきりとした歴史は分かっていません。

 

15世紀ごろにインド北部から放浪してきたロマ族がこの地に定住し、ここにあった舞踊や音楽に、自分たちの培った文化を取り入れてアレンジして造り上げたものとの説が有力だそうです。

 

フラメンコの要素

フラメンコは、激しいだけでなく、切なさも感じられます。それは、ジプシーとして迫害を受けた悲しみが込められているからだとか。

 

かつて500年にわたってスペイン南部で権力を持っていたのは、アラブ民族のモーロ族でした。「ハレオ」といわれる掛け声の「オレー!(見事!素晴らしいぞ~!)」や「アッサー(いいぞ!その調子!)」などは、権力が強かったモーロ族が影響しているといわれています。

 

仲間内で楽しまれた時代

ここに住み始めたさまざまな民族が、仲間内でフラメンコを楽しむようになり、19世紀の中ごろにはカフェ・カンタンテという酒場ができました。フラメンコが芸術的なものとして、開花したのはこのころ。意外と最近だったことに驚かされます。

 

商業的発展を遂げたフラメンコ

彼らのフラメンコは、ショーとして楽しまれるようになりました。タベルナ(居酒屋)のような場所を借りて、ヒターノ(スペインジプシー)に踊らせお金を貰うという商いが起こり、19世紀後半から20世紀初めにセビーリャから全国に広まっています。

 

下火になるフラメンコ

残念なことに、次第に流行も去り、カフェ・カンタンテに他の娯楽が入ってくることで、フラメンコ人気に陰りが見え始めました。次第にカフェ・カンタンテは、姿を消して行きます。フラメンコが生まれた当時は、ギターはなく手拍子での伴奏でした。
19世紀になってアンダルシアで流行ったギター演奏が組み合わさり、現在のようなフラメンコとなったのです。1950年頃からタブラオが生まれ、ライブ感覚で楽しめる現在のようなスタイルで、フラメンコショーが行われるようになりました。

 

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フラメンコの魅力

バイレ(踊り)の魅力

女性の踊り手はバイラオーラと呼ばれており、曲線的で、腕や上半身の動きを大切にした踊りが魅力。最近は女性でも、足で床を激しく打ち鳴らす踊りが披露されています。

 

男性の踊り手はバイラオールと呼ばれています。直線的で激しい足の動きが特徴です。女性より打ち鳴らす床音が鋭く、その大迫力は素晴らしいものです。

 

エスコビージャでは、サパテアード(踊り子のステップ)が中心となるので、舞台が一番盛り上がりを見せる時です。

 

ギタリスタ(ギター)の魅力

ギタリスタの醍醐味は「ラスゲアード」と呼ばれる、ギターの弦を一つに纏め掻き鳴らすフラメンコ独特の技法です。ギターの表面を叩く「ゴルペ」も見物。ファルセータという独奏部分では、ギタリスタにスポットが当たる、彼らの腕の見せどころです。

 

カンタオール(歌い手)の魅力

カンタオールは、フラメンコでしか使われない歌い手の名前です。魂の叫びのように張り裂けんばかりに歌う「カンテ」や、しゃがれ声で演歌のようにこぶしを回しながら歌い上げる「メリスマ」など、色々な歌い方が披露されます。

 

フラメンコを見るなら

タブラオで毎晩のように行われている「フラメンコ」は、グラナダやセビリアで見るのがおすすめ。バルセロナやマドリッドは、お店の数も多いですよ。

 

【グラナダ】ロマ族のマヤ家のフラメンコを堪能!クエバ・デラ・ロシオ

サクラモンテの丘で何世紀も暮らしている、スペインで最も古いマヤ家のタブラオ。ステージがなく、目の前で披露されるフラメンコは感動的!

 

【セビリア】老舗のタブラオならセビリアのロス・ガリョス

カテドラルから徒歩で約10分にある、老舗のタブラオ。老舗だけあり、優秀なアーティストが揃っていることでも有名です。フラメンコの本場で、リーズナブルに本格的なショーを堪能できます。

 

【マドリード】マドリッドを代表するタブラオ!カサ・パタス

派手ではありませんが、本格的なフラメンコを見られることで有名なお店です。1階がタブラオで、2階は研究所になっています。

 

【バルセロナ】洞窟をイメージしたステージが魅力のエル・コルドベス

老舗のタブラオで、世界中のツアー客が訪れることで有名なお店です。アーチ状の低い天井で、力強く情熱的な歌声が響きます。纏まったダンスも迫力あり。スペインの名物が揃ったビュッフェスタイルのディナーも魅力。

 

フラメンコ観賞のマナー

レストラン形式のタブラオに行く場合は、ちょっとお洒落した方がいいかも。人気のタブラオは、満席になるので予約して行かれることをおすすめします。拍手は曲の終わりが原則。踊り手が要求しない限りは、拍手は遠慮してくださいね。撮影もカメラは許されているところもありますが、動画はNGのところが多いです。

 

まとめ

フラメンコの一番の魅力は、歌と踊り、ギターが三位一体となって織りなす、情熱的な舞台です。スペインに行かれたら、ぜひ、本場のフラメンコで感じる、鳥肌が立つほどの躍動感を体感してはいかがでしょう。

 

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