スペイン

情熱の国スペインのお祭りに欠かせない国技「闘牛」ってどんなもの?

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闘牛は、熱い闘志が漲る、スペインの伝統的な国技です。荒れ狂う牡牛と華麗な衣装を纏った闘牛士との真剣勝負は、息を飲むほどの迫力です。緊迫した空気が漂い、熱狂する観客たちからは「オレ!」とのかけ声が上がります。今回は、スペインの国技「闘牛」について、ご紹介します。

 

「闘牛」とはどんなもの?


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冷酷とか無慈悲とか惨たらしいとか、非難の声が上がりそうですが、実はスペインのれっきとした国技です。着飾った闘牛士が、観客の声援を浴びる光景はまさに勇者!闘牛士が牛を挑発し、突進してくる闘牛を寸前でひらりとかわす一瞬の緊張感は最高ですよ。「オレ!」のかけ声とともに、牛と闘牛士、観客が一体となった時の感情の高まりは、目の前で見ないと味わえません。
スペインでは、一級闘牛士のことを「トレーロ(torero)」と呼んでいます。この言葉はスペインでは最高の褒め言葉で、闘牛士は勇敢なスペイン男性の象徴とされています。

 
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闘牛の歴史


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中世スペインでは、円形闘技場で闘牛が行われていたという記録は残っていますが、闘牛の始まりについては詳しくは分かっていません。このころは、馬に乗って闘牛と戦う騎馬闘牛が盛んに行われていました。実は、結婚式や軍事演習などで、貴族が中心となって行っていたとか。

 


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闘牛が一番栄えたのは、17世紀ごろ。時代の経過により少しずつ形は変わっていきました。民間で開催されるようになった18世紀ごろから徐々に減退しています。今のような、闘牛の形になったのは、騎馬闘牛士が闘牛に刺された時に、助手の徒歩闘牛士たちが牛を上手く操ったことからのようです。

 


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残念ですが、現在闘牛は衰退しはじめています。スペイン国民の3/4が闘牛に関心がなく、テレビの生放送も中止されています。試合数も予算の削減から2/3にまで減っているようです。スペイン本土のカタルーニャ州でも、闘牛禁止法が成立しています。また、「ブル・リーピング」という、牛を傷つけずに突進を芸術的にかわす、華麗な競技が考案されています。

 

闘牛ショーに出る人物の役割は?


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闘牛に関わる闘牛士は、4つに分類されています。
・トレーロ(又はマタドール)

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正闘牛士。闘牛の主役。このトレーロに続いて、闘牛士たちはそれぞれの役割を担っています。「トレーロ」は、牛を操り剣でとどめを刺す、闘牛の花形スターです。全体の1割しかなれない、選ばれた人だけがなれるもの。

 

・ノビリェーロ
見習い闘牛士です。入場してすぐに、闘牛をカポーテ(マント)を振って、挑発する役目。トレーロは、ノビリェーロが興奮させた闘牛を見て、ショーの構成を練ります。結構重要な存在です。

 

・ピカドール
騎馬闘牛士で、闘牛に槍を刺すのが役割です。防具をつけた馬にまたがり颯爽と、向かってくる闘牛の背に槍を突き刺すカッコいい存在です。ピカドールに憧れたスペインが誇る画家ピカソは、9歳(1890年)の時に「ピカドール(Le Picador)」を描いています。

 

・パンデリリェーロ

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闘牛士の助手が請け負うことが多い、銛(もり)打ちの役目です。闘牛士自身が行い、ショーの山場とすることもあります。飾りがついた銛はバンデリーリャと呼ばれており、これを背中に打ち込みダメージを受けた闘牛に活をいれるのも彼らの役目です。

 

闘牛の展開


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それでは、闘牛ショーがどのように行われるか見てみましょう。闘牛は3部構成になっています。1回の闘牛で3人の闘牛士が2回ずつ闘牛と戦います。

 

・パセイーリョ(闘牛士たちの入場行進)

 

3階席にいる音楽隊のファンファーレとともに、トレーロを先頭に、ピカドール、パンデリリェーロが隊列を組んでの、厳粛な入場行進が行われます。アレナと呼ばれる砂場まで行進します。

 

・牛が登場とカポーテでの挑発

 


https://pxhere.com/en/photo/1377352

 

入場行進が終わると音楽が止まり、牛が飛び出してきます。闘牛で使われる牛は、4歳の牡牛で体重は500kg前後です。ここで見習い闘牛士のノビリェーロも登場します。そしてカポーテ(5kgのピンクと黄色の厚手の生地で作られたマント)を振り回し、牛を挑発します。慣れた観客は、トレーロ目線で牛の習性や癖、スピードなどを分析するようですよ♪

 

・テルシオ・デ・カバリョ

 


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今度は、目隠しをした馬に乗ったピカドールの登場です。馬に角を突き立てる瞬間に、牛の首を槍で突き体力を奪います。筋肉が集まっている、肩甲骨の隆起部分が狙い所です。

 

・テルシオ・デ・バンデリーリャ

 


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更に興奮する牛は突進してきます。今度は、助手のパンデリリェーロが登場します。彼は、突進してくる牛の攻撃を巧みにかわし間近まで寄ります。そして、飾りのついた2本の銛を3回ずつ、槍と同じところに合計6回刺します。刺された牛は更に興奮します。

 

・テルシオ・デ・ムレタ

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ここでスターのトレーロが登場し、牛を捧げる相手にモンテラと呼ばれる帽子を投げます。ここからがハイライト!牛とトレーロの真剣勝負が、15分間続きます。ムレタという、赤いフランネルの布とそれを支える棒を片手に、牛をあしらいます。華麗な動きにはうっとりしますよ。実は、ムレタの中には、剣が隠されています。

・エストガタ(真実の瞬間)

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かなりの技術を擁する、闘牛のクライマックスです!トレーロは、牛の肩甲骨約5cmの隙間に真剣を刺し、とどめを刺します。
上手くいけば一発で仕留めることができ、トレーロは拍手喝さいを受けます。失敗しとどめが刺せない時は、短剣で最後を迎えさせることになります。その時は、トレーロには容赦のないブーイングが巻き起こります。最後は、犠牲になった牛が、馬に引きずられて会場を後にします。これが一連の流れです。

 

このサイクルが6回繰り返されます。1回のショーで6頭の牛が犠牲になります。

 
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闘牛が見られる場所は?


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数は少なくなったものの、1年を通して闘牛ショーが見学できる闘牛場が増えています。1931年に創設された、ラス・ベンタス闘牛場。国内最大の闘牛場でマドリードにあります。5、6月に行われる、スペイン三大祭りの一つ「サン・イシドロ祭」の時が一番盛り上がります。セビーリャにある、華やかな外観のマエストランサ闘牛場もおすすめです。18世紀に建てられた歴史ある闘牛場で、闘牛の聖地となっています。

 

お祭り

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闘牛はお祭りでも行われています。バレンシアの火祭りやセビーリャやゴルドバの春祭りをはじめ、グラナダのフェリアやバンブローナのサン・フェルミン祭で行われています。年の後半では、8月のマラガのフェリアやシーズン最後の闘牛が行われる10月のサラゴサピラール祭でも見られます。闘牛のシーズンは3月末から10月です。

 

まとめ

近年は、動物愛護団体からの批判もあり、もしかしたらこの伝統的な国技がなくなってしまうかもしれません。ぜひ、スペインへの旅に出かけたら、白熱する命懸けの勝負を見てみませんか?

 

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