ハルシュタット湖
オーストリア帝国皇帝ヨーゼフ1世と「バイエルンのバラ」と称された皇妃エリザベートが婚約中に訪れたことで有名な風光明媚な街が、オーストリアにあるんです。それが今回ご紹介する、『ザルツカンマーグート地方のハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観』です。山と湖が織りなす雄大な景観はもちろん、世界最古の岩塩坑があることでも有名です。
もくじ
「ザルツカンマーグート地方のハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観」とは?
オーストリア北部のザルツブルク東南部に広がる、「ザルツカンバーグート地方」に位置しています。ヨーロッパアルプスの東端に聳えるダッハシュタイン山塊と、その山麓に佇む「世界の湖畔で最も美しい街」と称されるハルシュタット、真珠に例えられるハルシュタット湖が、世界遺産に登録されています。
このアルプスの氷河が長い歳月をかけて形成した渓谷の風光明媚な景色は、映画『サウンド・オブ・ミュージック』にも使われました。ハルシュタット湖から見る風光明媚な湖岸風景を見るため、現在も1年を通して世界各国から観光客が訪れる、オーストリアでも人気の観光地です。
先ほどから、自然が創りだした風光明媚な地として紹介しておりますが、人間の手が加わった場所が随所にあり、自然遺産としての登録は叶いませんでした。しかし、題名にもある通り「文化的景観」という新しい登録基準が設けられ、その最初の例となったのが、この世界文化遺産です。
『ザルツカンマーグート地方のハルシュタットとダッハシュタインの文化的景観』は、1997年に世界遺産に登録されました。
登録基準は、文化遺産 (ⅲ) (ⅳ) です。
アクセス
ウィーンからアッタナンク・ブッハイムに乗り約4時間。バート・イシュルから鉄道ハルシュタット駅まで約30分。ハルシュタット駅から街までは、連絡船で約10分です。
ハルシュタットのみどころ
湖が創りだす神秘的な景観の街は、急斜面の山すその湖畔沿いに細長く続いています。1750年の大火事で歴史的建築物のほとんどが焼失してしまいました。その後に作られたゴシック様式とルネサンス様式の家々が立ち並ぶ、美しい街並みもみどころです。木の資源が豊富で、オーストリアにしては珍しく、街の至る所に木造の建築物を見ることができます。教会の塔や手掘りの彫刻で装飾されたお墓も木で造られています。湖と木が織りなす景観は趣があり感動もの。
岩塩採掘で発展した町ハルシュタット
ハルシュタットとはケルト語で、「塩の街(ハル=塩、シュタット=街)」との名前がついています。この地は、紀元前18世紀ごろ、紀元前12~5世紀の初期鉄器時代には、ケルト人のハルシュタット文化が華開いた場所でした。当時のロープや青銅製のブローチなど、多数の鉄器や青銅器も発見されています。
紀元前10世紀には街が形成されており、裏山から取れる岩塩で繁栄しました。紀元前6世紀に作られた世界最古の岩塩坑が存在しています。ヨーロッパ各地から、この地で取れる塩を目当てに人々が訪れ、街は「白い黄金」と呼ばれる塩産業で潤っていました。現在も50人もの人々がこの岩塩鉱山で働いています。格好の観光スポットとなっており、トロッコに乗っての坑道散策と塩の湖に木製の滑り台で一気に滑り降りるスリリングな体験も楽しめますよ♪
ハルシュタットを直轄地としていたハプスブルク家によって、1719年に造られた岩塩坑もあります。塩を求める各国の人々が集う、交易の中心地でした。繁栄の源となった岩塩の発掘跡もしっかりと残っています。
ダッハシュタイン山塊のみどころ
ダッハシュタイン山塊は、オーバーエスターライヒ州・ザルツブルク州・シュタイアーマルク州の3州にまたがる山塊で、オーストリアで最高峰の標高2966mのダッハシュタイン山をはじめ、3000m級の山々が連なっています。断崖絶壁に設置された5つ展望橋では、空を飛ぶ鳥のような気分を味わえます。ここからは、ハルシュタットの町と湖の眺望を満喫できます。
中腹には氷の洞窟があり、氷河独特の青みがかった神秘的な世界が広がっています。自然によって創られたホールでは演奏会も開催。
まとめ
塩の恩恵を受け繁栄した地は、湖と山、街並みの美しさが大人気の観光地となりました。2500年も前に造られた岩塩坑もあり、見どころ楽しみどころが豊富な世界遺産です。クリッペンシュタインという標高2109mの展望から、ダッハシュタインとアルプスの氷河、真珠のように美しいハルシュタット湖の大パノラマに会いに訪れてみてはいかがでしょう。
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