オーストリア

女帝マリア・テレジアの権力の象徴「シェーンブルン宮殿と庭園群」

有名なフランス王妃マリー・アントワネットなど、5男11女の母として、また敬虔な啓蒙君主として、国民から「国母」と称され尊敬された、マリア・テレジア

 

今回は彼女が「ヴェルサイユ宮殿のような居城を」と作った宮殿であり、
オーストリアの世界遺産『シェーンブルン宮殿と庭園群』をご紹介します。

 

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シェーンブルン宮殿と庭園群とは?


冒頭でもお話しした通り、シェーンブルン宮殿は女帝マリア・テレジアが建てたハプスブルク家の栄光の象徴とされる宮殿です。豪華絢爛で優雅な宮殿は、ウィーンの南西約5kmに位置しており、16世紀後半ごろは、パプスブルク家の狩猟場でした。

 

1683年にオスマン帝国による攻撃で狩猟館が、破壊されました。1695年にレオポルト一世がここにバロック様式の夏の離宮を建てるも、予算が不足し小さな宮殿となるも1700年に完成しました。

 

1740年にはマリア・テレジアが、ハプスブルク家唯一の女帝となり、小さな夏の宮殿を1744年から5年かけて優雅で壮麗な居城に増改築しました。建築家ニコラス・フォン・パカッシによって建てられています。

 

こうして「美しい泉」を意味する「シェーンブルン宮殿」という、ヴェルサイユ宮殿と肩を並べるほどの大宮殿が完成しました。

 

1752年には、宮殿脇にフランツ一世が世界で初めての動物園を設置。市民に解放されていた動物園で、かのマリー・アントワネットも頻繁に訪れています。

 

外観は、マリア・テレジア・イエローと呼ばれる、独特の黄色で統一されており、中央の屋上にはハプスブルク家の紋章「双頭の鷲」が装飾されています。

 

『シェーンブルン宮殿と庭園群』は、1996年に世界遺産に登録されています。
登録基準は、文化遺産 (ⅰ) (ⅳ) です。

 

アクセス

ウィーンの中心部から、地下鉄4号線に乗り、シェーンブルン駅で下車。駅から徒歩で約5分。

 

シェーンブルン宮殿のみどころ


内部には1441室もの部屋があり、それぞれ優美で壮麗なロココ様式で作られています。45室が見学コースとなっており、王宮といった政治的イメージより、家族の肖像画などが飾られ生活エリアといった雰囲気を感じられます。

 

優美を重んじたテレジアは、いつも優美でありたいという願いからどの部屋にも鏡を設置しました。世界中の文化を活かした多くの部屋の中でも、ヴェルサイユ宮殿の「鏡の間」を彷彿とさせる「グローサーザール(大広間)」。

 

ナポレオン戦争後には、ヨーロッパ各国が集まり「ウィーン会議」が開催されました。「会議は踊る、されど進まず」という、有名な言葉がここで生まれました。金がふんだんに使われたロココ調の部屋は、ローズウッドの寄木やマリア・テレジアの肖像画も描かれている天井のフレスコ画、壁などの細かな細工もみどころです。

 

また、かのモーツアルトが6歳で演奏のために呼ばれた時に、7歳のマリー・アントワネットに求婚したとして有名な「鏡の間」も見逃せません。東洋風の装飾が魅力の丸い中国の間では、当時この小部屋でテレジアと部下の密談が行われ、さまざまな決定がくだされたとか。ここには隠し扉があり、部下の部屋へも行き来できたようです。

 

もう一つ素晴らしい部屋が。女帝テレジアの初恋の相手で夫の肖像画が飾られた漆の間。夫が先立ち未亡人となったテレジアは、喪服を着て過ごしたとか。晩年はこの漆の間を好み、ここで過ごすことが多かったようです。

 

庭園群の見どころ


幾何学的な樹木と花壇や噴水など美しい庭園では、テレジアが夫との日々を回想に耽った場所ともいわれています。庭園の中央にある、ギリシャ神話がモチーフになっているネプチューンの噴水は迫力満点。ここから見る宮殿は、ひと際美しく見えます。

 


噴水の後ろには、プロイセン戦争の戦勝記念として建てられた、戦死者追悼の碑「グロッテリア」があります。また、噴水の側には迷路の庭園が。その先には先ほど少し触れた世界最古の動物園もあり、大人も子供も楽しんでいます。

 


他にも、美しいバラが咲き誇るバラ園や世界の植物をコレクションするためにテレジアが作ったガラス張りの温室は欧州最大級の規模。バロック風の装飾を施した豪華な馬車を展示する馬車博物館や日本庭園も見ておきたいスポットです。

 

まとめ

マリア・テレジアが近隣諸国に自身の権力を認識させるために建てられた優美で壮麗な宮殿。マリー・アントワネットがここで遊びながら生活をし、フランスへと嫁いだ宮殿です。絶世の美女として有名なハプスブルク家最後の王妃エリザベートも、結婚後はここで暮らしました。さまざまな、歴史上の人間模様を垣間見ながら、見学するのも醍醐味です。

 

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