南イタリアの農村地帯にある、人口1万人ほどの小さな村が世界遺産に登録されています。まるでおとぎの国に迷い込んだようなアルベロベッロのメルヘンチックな景観は、世界中どこを探してもここにしかありません。かわいらしく魅力的ですが、解明が進んでおらず謎だらけなんです。
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アルベロベッロのトゥルッリとは?
アルベロベッロとは地域の名前で、トゥルッリとはとんがり屋根の伝統家屋のこと。アルベロベッロ旧市街の西側にある1000軒ものトゥルッリに土産物屋が並ぶ「リオーネ・モンティ」と、およそ400軒のトゥルッリに人々が暮らす東側に位置する「アイア・ピッコラ」の2つの地区が世界遺産の範囲です。とんがり屋根のユニークな家々は、かつてこの地を治めていたスペインの支配下で、生き抜くために必要だった知恵から生まれたといわれています。しかし、このトゥルッリの詳しい起源は分かっていません。他説によると中近東やギリシャを渡ってきたともいわれています。
世界遺産に登録されたトゥルッリを見に訪れる観光客は、年間100万人を超しています。とってもかわいらしいフォトジェニックな町並みは、一生に一度は実際に訪れて見てみたいものです。
とんがり屋根のかわいらしい伝統的建物群『アルベロベッロのトゥルッリ』は、1996年に世界遺産に登録されました。登録基準は、文化遺産(ⅲ)(ⅳ)(ⅴ)です。因みにアルベロベッロと、岐阜県にある合掌造りの伝統家屋群で有名な世界遺産白川郷は、姉妹都市関係にあります。
アルベロベッロトゥルッリの建物群
トゥルッリは、15世紀末ごろに初めて建てられたようです。1635年ごろナポリ王は、モルタル(漆喰)で装飾された家の屋根の数で税金を徴収していたとか。この地を任されていたアクアヴィーヴァ伯爵は、王の許可なしに町を作りました。更に税金を免れようと、すぐに壊せる家を住民に作らせたのです。
役人が徴税のために訪れても、屋根から石をおろし、「これは、家ではありません」とごまかしたとか。これが起源という説が有力です。
でも、トゥルッリは有史以前に造られていた伝統技法を受け継いでいるとの説もあり、謎は深まるばかりです。
トゥルッリの構造
アルベロベッロとは、「美しい木」という意味だそうです。でも、この地方の伝統家屋は、木造ではありません。この謎も未だ解明されていません。では、どういう家が建てられているのでしょう。
円錐状の石屋根の下には、部屋は一つだけです。この部屋がいくつか集まって一つの家になっています。壁は石灰岩の切り石を組合せ、モルタルで塗り固められただけのもの。灰色の屋根は、平たい石を積み上げただけで、釘や接着剤は一切使われていません。この平たい石はこの地方で取れる石です。
屋根に降った雨を一か所に集め、土砂が詰められた外壁と内壁の間を雨水が通るようにできています。これは、雨水をろ過しながら床下の井戸に貯めるという、画期的な建築技術です。二重構造の壁は、夏は涼しく冬は暖かく過ごせるなど、構造はシンプルですが機能的な造りとなっています。
もう一つ面白いのが、灰色の屋根に白色で描かれた不思議なマーク。ハートや月、鳥などが、一屋根にシンボルのように一つ描かれています。酔っぱらったときに他の家と間違えないように書かれたものとジョークにされることもありますが、魔除けのためだとの説もあります。中には、ギリシャの言葉で神を表す文字をマークにしているトゥルッリもあるようです。謎が深まりますね。
まとめ
駅から500mほど離れたポポロ広場の先にある教会のテラスからは、斜面を埋め尽くすトゥルッリを一望することができます。集落の中は坂道が迷路のようになっており、メルヘンチックな気分を楽しめます。
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