フランス

フランスの教会巡りが楽しくなる「フランス建築」のここだけは知っておこう!

世界の建築様式には、ローマやギリシア、ビザンティンやロマネスク、ルネッサンスなど、年代や場所によって色々です。長い歴史をもつフランスには、もちろんフランス発祥の建築様式があります。今回は、フランスの建築様式についてご紹介します。

 

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フランス建築には、どんなものがある?

パリのノートルダム大聖堂をはじめ、皆さんご存知のようにフランスにはたくさんの教会があります。静寂な教会内に差し込む、ステンドグラスからの神々しい光を見れば、何ともいえない幸せを感じられるはず。

 

フランス発祥の建築様式には、ロマネスク様式とゴシック様式があります。同じ様式でも、年代や地方によって、建物の様子も違ってきます。ちょっとだけ予習していくだけで、フランスの教会巡りも全く違ったものになることでしょう。ぜひ、参考にしてください。

 

ロマネスク様式の特徴と代表的な教会


(サント=マドレーヌ大聖堂 (ヴェズレー))

ロマネスク様式は、フランスの南部や北イタリア、ドイツを中心に広まった建築様式です。10~12世紀にかけて建てられており、スペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」への巡礼路上にある教会や修道院に多く見られます。

 

ロマネスク様式の特徴


(サン=トロフィーム教会(アルル))

ロマネスク様式は先ほど少し触れたスペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」への巡礼路など、人里離れた場所に建てられた教会に顕著に見られます。これは、戦乱時代に神に救いを求めた、巡礼者たちのために建てられたからです。
修道院は若い修行僧が禁欲生活をする場とされていたため、田舎に建てられていた理由です。

 

重厚感のある分厚い石壁


(サン・セルナン・バシリカ聖堂(トゥールーズ))

分厚い石壁を使った重厚感ある建物で、窓が小さく内部は薄暗いのが特徴といえます。1mという厚みも珍しくない石壁は、重い石天井を支えなければならなかったために分厚くせざるを得ませんでした。

 

ローマ建築からの進歩

一般的に、外観は簡素にできています。天井は十字の形をした「交差ヴォールト」が用いられているのも、ローマ時代の教会より技術の進歩した証です。
また、開口部には半円アーチが取り入れられており、林立する柱の頭部分には、独自の造形が見られるのも発展といえるでしょう。

 

ロマネスクの教会

サン・セルナン・バシリカ聖堂(トゥールーズ)

スペインへ巡礼の重要な地として有名になり、11世紀に彼らを迎え入れることができるようにと、大きな聖堂に作り替えられました。奥行きは150mもあり、フランスロマネスク教会で、最も大きなものとなっています。
12世紀に造られた南側入り口のタンパンに彫られた、ロマネスク彫刻や内部の『キリストの復活』を描いたフレスコ画も必見です。

 

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ノートルダム・デュ・ポール教会(クレルモン・フェラン)

ロマネスク様式のお手本というべき教会です。リヨンから西へ約150kmにあり、スペインへの巡礼ルート上にあります。分厚い石壁、半円アーチ、小さな窓と柱頭の彫刻も、見ることができます。


(サンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂(スペイン))

 

他にもサント・マドレーヌ・バシリカ聖堂(ヴェズレー)やサン・トロフィーム教会(アルル)なども、ロマネスクの教会です。スペインの「サンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂」も、ロマネスク様式です。

 

ゴシック様式の特徴と代表的な教会


(ノートルダム大聖堂(ストラスブール))

ご紹介しましたロマネスク様式を発展させた建築様式です。12~15世紀にかけて、イル・ド・フランスやフランス北部を中心に広がり、イギリスやドイツなど北ヨーロッパの国々に大きな影響を与えました。

 

ゴシック様式の特徴


(ノートルダム大聖堂(ランス))

人々がもっと「天の神様に近づけるように高く、光が差し込む明るさを」との願いが、教会建築の発展に繋がりゴシック様式ができ上がったといわれています。

特徴は、技術が発展したことで、壁にかかる屋根の重みが軽減されたこと。これは、尖塔アーチや交差リブ・ヴォールト、教会が倒れないように外壁を支えるために取り付けられたフライング・パットレス(飛梁)など、新しい技術が開発されたからです。これにより、人々の願いだった“窓が大きく、天井高”の教会を建てることが可能になりました。

 

高い建物を造ることで、雨が外壁の漆喰を壊さないように、雨どいにガーゴイルが作られるようになりました。ゴシック様式の教会にいったら、ぜひ、奇妙な怪物「ガーゴイル」も見てくださいね。

都市の中心に立つ巨大化した教会


(サン・テチエンヌ大聖堂ブルージュ)

ゴシック様式は、12世紀からルネッサンスが開花するまでの300年間も続きました。農業革命や商業の発展により、都市に人々が集まりました。都市部に住む人々が、美しく壮大な教会を求めるようになり、ゴシック様式の巨大な大聖堂の建設がはじまったようです。
一説によると美しさはキリスト教信者の、「教会は美しいもの」という熱い思いからだとか。また、司教など関係者の競争心から、規模も大きくなり巨大化されました。

ステンドグラスの発展

先ほどお話しした、3つの発展により、壁が薄く大きな窓も数多く作れるようになり、ステンドグラスも劇的に変化しました。大型で色鮮やかなステンドグラスが、要求されるようになったからです。

 

ステンドグラスの役割は、美しさと明り取りだけではありません。聖堂の窓を見て分かるように、聖書やキリストに関わることが物語調に描かれているものもあります。これは、文字が読めなかった人々のために、聖書やキリストのことを伝える役割も担っていたからです。大聖堂にいかれたら、ぜひ、ステンドグラスの物語を読み解いてみてはいかがでしょう。

 

ゴシック様式の教会

ノートルダム大聖堂(パリ)

誰もが憧れるパリ発祥の地シテ島に堂々と立つ、ノートルダム大聖堂(われらの貴婦人)。1163年から170年かけて建てられた大聖堂は、どの角度から見ても絵になる美しさ。巨大な内部空間には美しいステンドグラスや、尖塔アーチ、リブ・ヴォールト。外部には、フライング・バットレスも備わっています。さまざまなフランスの歴史を見ていた生き証人的存在の、ゴシック様式の大聖堂はパリにいったら絶対に見たいもの。

 

サン・ティエンヌ大聖堂(ストラスブール)

フランスゴシックの代表建築の一つとされる、3階建ての大聖堂です。ダイナミックな立ち姿は、見る人々を圧倒しています。また、中央扉口には「最後の審判」が描かれており、建設当時のままの様相を保っています。内部はビックリするほど明るく、内陣を囲むステンドグラスは13世紀のオリジナルがほとんどだとか。内陣聖歌隊席や身廊や側廊も、目を見張るほどの美しさです。

 

他にも、ストラスブールやランス、シャルトルやアミアン大聖堂など、有名なゴシック様式の教会がフランスにはたくさんあります。

 

まとめ

いかがでしたでしょう。フランス建築の豆知識をちょっとだけお話しました。現地にいって、お話しした建築様式を注意しながら見ると、更にフランスの歴史的建造物の素晴らしさを発見できるはずです。ぜひご参考いただければと思います。

 

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