ククルカンの降臨で有名なメキシコの都市遺跡、チチェン・イッツァは、マヤ文明とトルテカ文明の融合をみられる、古代都市遺跡です。
大きな羽を背中に携えた蛇の姿の神が春分と秋分の日に降臨するといわれるピラミッドなど、謎めいた遺跡が点在する古代都市遺跡です。当時の天文学の知識と技術力の素晴らしさを今に伝える、メキシコの世界遺産『チチェン・イッツァ』をご紹介します。
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チチェン・イッツァとは?
チチェン・イッツァは、メキシコのユカタン半島の密林に点在する都市遺跡です。200年以上も一大文明が続いたことを明かすマヤ古典期最大の遺跡です。マヤの不思議な力が漲っており、当時栄華を誇った光景が広がっています。
マヤ語で、チチェン=「泉のほとり」を意味しイッツァ=「水の魔術師」を意味しており、マヤの象徴「生贄文化」をイメージする遺跡が点在しているのも見所です。
メキシコでは2~8世紀ごろグアテマラを中心に多くの装飾が施された建物が特徴のマヤ文明が台頭し、5~10世紀ごろには中央高原で大規模な建築で知られるトルテカ文明が栄えました。マヤ文明だけでなく、マヤとトルテカなどの文明を混在した独特な遺跡も残っています。
世界遺産として登録された約4平方キロメートルには、建築された年代により2つのエリアに分けられています。メキシコで起こった文明が交じり合うチチェン・イッツァは、1988年に世界遺産に登録されました。登録基準は、文化遺産(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)です。
マヤ文明の宝庫旧チチェンのみどころ
旧チチェンは、古典期とされる700年に都市化が進み900年まで栄えました。6世紀ごろにイツァ族が築いたとされる南部の旧チチェンの建物には、雨神チャックで装飾される純粋なマヤの伝統様式のプウク様式をみられます。
最大のみどころは、古代の天体観測所だった円形の塔「カラコム」です。数学に強かったマヤ文明の力を利用しており、高度な天文知識を随所にみられる遺構が残されています。
秋分と春分の日、太陽や月や星の位置から、農作物の収穫時期などを正確に捉らえていました。カラコルには高さ22mのドームがあり、トルテカ文明の影響を受けた作りです。
旧チチェンを代表する尼僧院&教会も必見。繊細なモザイク彫刻や模様がみられるプウク様式で、純粋なマヤの装飾しかみられません。曲った鼻が特徴の雨神チャックの像が、壁面に造られています。
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国際都市としても繁栄した新チチェンのみどころ
900~1000年ごろは、チチェン・イッツァが一番栄えた時期です。旧チチェンが滅びここに新しい都市を開いたとの説があります。このころトルテカ族との交流が始まっており、外国の影響を強く受けた様子を遺跡より知ることができます。
チチェン・イッツァ最大のみどころは、カスティージョといわれるピラミッド。一辺56m、高さ24m、9層でできており、4方向に階段があるのはマヤとしては珍しいもの。北の階段にはマヤ神話の創造神ククルカンが鎮座しています。
春分と秋分の日には、階段に羽に似た影ができ、ヘビの頭に繋がる工夫もみられます。他にも1年を意味する数365段の階段や52個のレリーフなどマヤ暦に関係する技術を組み込んでおり、祭儀的な役割も担っていました。レリーフの数は、52年に1度災いが起こるとされていたからです。
戦死の神殿も見逃せません。トルテカ文明でみられる建築様式で、チャックモールやククルカンの像があり、文化交流があったことを証明する建造物として貴重な遺跡です。他にもメソアメリカ最大の球戯場や壁面にドクロや兵士の浮彫が彫られたツォンパントリ、生贄が行われたジャガーと鷲の台座など数多くの遺跡が残っています。
まとめ
チチェン・イツァ遺跡に来たら、プロジェクションマッピングと迫力のサウンドが繰り広げる、夜間のライトアップショーはみてみたいもの。マヤ文明の壮大な歴史を英語の解説付きで紹介されています。昼間に訪れるなら、透明度の高い泉「セノーテ(聖なる泉)」でシュノーケルを楽しむのもおすすめです。
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