メキシコ

メキシコのジャングルの中に眠る古代都市「ウシュマル」

鬱蒼と茂る樹海の丘陵地帯に、突如として現れる古代都市ウシュマル。プウク様式の傑作といわれており、優美な装飾も見物です。近代建築の三大巨匠のひとり「フランク・ロイド・ライト」は、“プウク様式に魅せられた弟子だ”と自らを称し、デザインに取り入れています。優美な装飾で埋め尽くされた建物に心の底からの感動を覚えるメキシコの世界遺産『ウシュマル』をご紹介します。

 

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古代都市ウシュマルとは

マヤ語で「3度にわたって建てられた町」という意味を持つとされる「ウシュマル」の地に佇む、謎多きマヤ文明の代表的な遺産のひとつです。ユカタン半島の北部にある、マヤ文明最盛期の7~10世紀に存在していたとされています。

 

四大文明でも分かるように、かつて文明は大河のそばで起こっていました。しかし、このウシュマルは、川がなく水のない地に建てられた古代都市なんです。このような土地だからこその工夫や、マヤ人たちの芸術性の高さなどを垣間見られます。

 

残っているマヤ文明の遺跡の中でも保存状態が良く美しい『古代都市ウシュマル』は、1996年に世界遺産に登録されました。登録基準は、文化遺産(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)です。

 

この遺跡には2万5000人が暮らしていたと見られており、巨大国家が築かれていたことも読み取れます。120km離れた位置にあるユカタン半島で最強の勢力を誇っていた「チチェンイッツァ」と同盟を結び、半島全域を掌握していたようです。

 

「魔法使いのピラミッド」の魅力

ウシュマル最大のみどころといっても過言ではないのが、「魔法のピラミッド」と呼ばれる建築物。ピラミッドは、エジプト、メソ・アメリカに多く見られます。ウシュマルがあるメソ・アメリカには、1000以上ものピラミッドがありますが、「魔法使いのピラミッド」のような楕円形の土台を持ち、小判型の石を積み上げ優雅な曲線を描いたものは、マヤでも珍しいもの。石灰岩の切石を積んだ、ユカタン半島独特のプウク様式の造形も見物です。

 

魔女が卵を温めて孵った小人たちが、高さ38mもの大きなピラミッドを、一夜にして造り上げたという伝説が残っています。ここから、「魔法使い」という名前が付いたようです。

 

優艶なフォルム以外に、装飾も必見です。5つから成る建物の中に、チェネスの神殿があり、一面に壮麗な装飾が施されています。頂上の神殿には無数の「雨の神チャック像」をはじめ階段や他にもこのチャック神が装飾され、この神殿がチャック神に捧げたものだったことを見て取れるようです。

 

その他のウシュマル遺跡の魅力

古代マヤ人たちは、この地に水がないことから、貯水タンクを地下に造りました。その数は数百にも及んでおり、石灰岩という水を通しやすい地に、このような施設を作ったことでも彼らの能力の高さを示しています。

 

魔法使いのピラミッドに次ぐ見どころは、その西に隣接する尼僧院です。規模は小さいですが、中庭を囲むように東西南北に建物が立ち、異なったデザインが特徴。壁一面に幾何学模様とかぎ鼻が特徴のチャック神やジャガー、ヘビなどのレリーフなどが見事で見応えがあります。正面下部には、解読が40%しか進んでいないマヤ文字の石板も見物です。

 

遺跡のほぼ中心部に位置する、最も壮麗な「総督の宮殿」。石をずらして積み重ねたマヤンアーチや典型的なプウク様式が特徴で、約2万個の切石を用いた石造りの堂々たる姿は、現存するマヤの建築物でも最高峰ともいわれています。

 

また、大ピラミッドと呼ばれる建物の頂上からの眺望は、ジャングルの中に浮かんでいるように佇む、ウシュマルの遺跡の全貌を見渡せ絶景です。毎晩行われている、「光と音のショー」も、神秘的で歴史ロマンを彷彿とさせてくれます。

 

まとめ

保存状態の良いウシュマルの優美な姿は、心からマヤ文化の素晴らしさを見せつけてくれています。せっかくなら、260体ものチャック神の像が祀られた、「カバー遺跡」まで足を延ばすのも、マヤ文明を更に体感できおすすめです。

 

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