古都トレドは、スペインの人気観光地のひとつです。日本の京都や奈良のような歴史を持ち、中世の古都を満喫したい歴史ファンには必見の観光スポット。今回は、中世のスペインを今に伝える世界遺産、「古都トレド」をご紹介します。
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古都トレドとは
三方をタホ川に囲まれた、険しい岩山の上に築かれた城塞都市です。『受胎告知』で有名な、スペインを代表するギリシア人画家のエル・グレコが、後半の40年間にわたり活躍した場所。古代ローマ時代に栄え、西ゴート王国では文化や経済の中心となりました。
その後アラブ人に支配されるも、16世紀にマドリッドに遷都されるまで、2000年も繁栄を続けています。情緒漂う旧市街地に入ると、細く曲がりくねった石畳の路地や坂道が続いており、まるで迷路のようです。
500年も支配されたイスラム教はもちろん、2000年の間に築かれたキリスト教やユダヤ教の3つの宗教が混在した歴史が美しい街を形成しており、この時期に現れた文化はトレドの街に独特な雰囲気を与えています。
『古都トレド』は、1986年に世界遺産に登録されています。
登録基準は、文化遺産(ⅰ) (ⅱ) (ⅲ) (ⅳ)です。
アクセス
マドリッドのアトーチャ駅から、鉄道で約1時間半。高速列車アヴァントで約30分。
古都トレドの見どころ
トレド大聖堂
1561年にフェリペ2世がマドリッドに遷都を決めてからも、文化と宗教においてはトレドが重要な地としています。平成も終わろうとしている現在も、トレド大司教はスペインの首位聖職者です。古都トレドの旧市街地の街並みの素晴らしさは先ほどお話ししましたが、他にも見どころが豊富なのもトレドの魅力です。
ムデハル様式のトレド駅は、欧州一美しい駅といわれており、13世紀建造の六角形をしたアルカンタラ橋もムデハル様式で作られています。
駅から進み橋を渡る前に左へ向かうと、エル・グレコが描いた『トレドの景観』とそっくりの風景を見渡せる展望台があり、少し歩きますが坂道を埋め尽くすレンガ色の屋根がひしめき合う景観は必見です。また、夕暮れ時から夜にかけて街がライティングされる姿もロマンティック♪
トレドで必見の歴史的建造物
トレド大聖堂
主祭壇
1226年にフェルナンド3世の命によって建設が始まった、スペインカトリックの総本山です。長い年月をかけて建てられた大聖堂の完成は1493年で、スペインでも1、2を争う規模。完成後も増改築が繰り返されており、ゴシック様式の外観の中にムデハル様式の部屋が混在するなど、トレドらしい不思議空間を見ることができます。
アロンソ・ベルゲーテがグラナダ戦争の場面を彫った聖歌隊席も素晴らしいもの。ナルシソ・トメが作ったトランスパレンテの天使や聖母像に外光が注がれるころは、神秘的な美しさに包まれます。
宝物室にある、エンリケが16世紀に作った高さ3mの聖体顕示台は見物です。総重量200kgもある、金や銀、宝石などで装飾されており、中にはコロンブスがかつてアメリカから持ち帰った金も使われているとか。
寝具室も芸術の宝庫で、エル・グレコの初期の作品『聖衣剥奪』はもちろん、ゴヤやティツィアーノなどの作品も展示されています。
城塞アルカサル
街の頂上には、11世紀にアルフォンソ6世が建てたお城が聳えています。1936年のスペイン内戦の舞台となったお城で、モスカルド大佐とフランコ軍が72日間も籠城したことでも有名です。
現在は軍事博物館として使われており、至る所に古傷の弾痕や、地下には彼らの家族が立てこもった跡も残っています。
サント・トメ教会
12世紀にアルフォンソ6世が建造した教会。エル・グレコの傑作『オルガス伯の埋葬』が、所蔵されていることで有名です。門外不出なのでここに来なければ見られません。
この絵は天地に分かれており、地上には伯爵の体を埋葬している場面が。天上にはキリストとマリアに天使が伯爵の魂を捧げている場面が描かれています。絵の中に、こっちを向いている子供がいます。これはグレコの息子といわれています。息子のポケットのハンカチには、グレコのサインと息子の生年月日が書かれているようです。
この絵画の下には、荒廃していた教会を私財をはたいて再建した、オルガス伯のお墓があります。
他にも歴史的建造物は旧市街に点在しており、クリスト・デ・ラ・ルス聖堂やサンタ・マリア・ラ・ブランカ聖堂なども訪れる価値ありです。
まとめ
古都トレドには、カテドラルが点在しているのはもちろん、パラドールやバルもたくさんあります。パラドールは、サント・トメ教会近くにある「SANTO TOME」のマサパンが有名なのでぜひ。また、武具や刀剣の産地としても有名なので、戦士になった気分で見て回るのも楽しいですよ♪
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