スペイン

紺碧の美しい海と遺跡のコラボは超ステキ!スペインの世界遺産「タラゴナの考古遺跡群」

スペインの人気観光地バルセロナ近郊に位置する「タラゴナ」には、考古学的にも意味のある、ローマ時代の遺跡が残っています。かつて、地中海に面した港湾都市として繁栄し、物流の要所として重要な役割を果たした場所でもあります。今回は、スペインの世界遺産「タラゴナの考古遺跡群」をご紹介します。

 

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タラゴナの考古遺跡群とは

スペインがあるイベリア半島は、かつてセビリヤを中心とした「ベティカ地方」とメリダが中心の「ルシタニア地方」、そして、タラコ(タラゴナ)を中心とした「タラコネンセ地方」の3つに分かれていました。このタラコは、歴代のローマ皇帝が訪れる、ヒスパニア・タッラコネンシス属州(現スペインのほぼ全域)の州都として、またイベリア半島最大の都市としてローマ帝国全域で最も重要な存在でした。

 

8世紀の初めごろにはイスラムのウマイヤ朝に侵攻され、町はコッパ微塵に破壊。征服されました。これにより、バルセロナへ州都が移されています。1118年には、この地はバルセロナに征服され、大司教座を置くキリスト教の町に再建されました。12世紀のレコンキスタ(再征服運動)の進展とともに勢力を拡大した、アラゴン王国の一部となっています。

 

今でも人々を魅了する、ローマ時代の遺跡をはじめ、中世のカテドラルや近代建築まで、カタルーニャ地方が辿った歴史を今に伝えています。

 

『タラゴナの考古遺跡群』は、2000年に世界遺産に登録されています。登録基準は、文化遺産(ⅱ) (ⅲ)です。

 

アクセス

バルセロナのサンツ駅からタラゴナ駅まで、快速電車カタルーニャ・エクスプレスで約1時間20分。特急電車(AVEやAVANT)では約30分。

 

タラゴナの考古遺跡群のみどころ

紀元前218年に、古代ローマ軍にタラゴナは征服されました。街には城壁が築かれ、堅硬な場所とされてしまいました。実は、海岸沿いに位置し交易が盛んだったタラゴナは、当時のローマ皇帝「ユリウス・カエサル」が、これから進軍するのにちょうどいい地と踏んだようです。
カエサルは街を整備し、植民都市としました。地中海を背景に佇む円形闘技場をはじめ、さまざまなローマ時代の遺跡を見るのが、この遺跡群の醍醐味といえるでしょう。

 

特におすすめの絶景スポットは、ランブラ・ノバ通りの突き当りにある、「地中海のバルコニー」。ここからは、ローマ円形闘技場と地中海の美しい海景のコラボが見られるフォトジェニックなスポットとして、観光客からも人気があります。
旧市街へは駅から徒歩で約15分。ローマ円形闘技場やカテドラル、考古学博物館などは、徒歩で回れます。ラス・ファレーラス水道橋へは、インペリアル・タラコ広場から循環バスでのアクセスになります。所要時間は、行き約7分。帰りは20分くらいです。

 

ローマ円形闘技場

一番の見どころは、ローマ時代に人間と猛獣が、命を懸けて戦う姿を見せるショーが行われた、石造りの円形闘技場です。2世紀に建造された巨大な闘技場は、当時1万4000人を収容したほどの規模を誇っています。キリスト教勢力への迫害が行われていた259年には、司教と助祭たちの処刑場としても使われています。
紺碧の地中海とコラボした遺跡を見ていると、こんな黒い歴史を持っているとは思えないほどの絶景が広がっています。

 

また、観客席の下には、「シルク・ローマ」というトンネル状の通路があり、二頭立ての戦闘馬車の競争も行われていました。でも、この道は今から死ぬかもしれない戦闘ショーを行う前の戦士たちも通った道。かつてどんな気持ちで通ったのだろうと、悲しい気持ちになると同時に歴史ロマンも感じられます。
ライティングされた通路には、幻想的な雰囲気が漂っています。

 

カテドラル

ローマ遺跡が最大の見どころですが、タラゴナの歴史上重要な位置にあるのが、このカテドラル。12世紀から200年以上もの歳月をかけて建てられています。ローマ時代の神殿跡に建てられているところも見どころです。

 

ロマネスク、ゴシック、バロック様式など西洋の建築様式の中に、イスラムの影響があったことも建築様式から見ることができます。特に正方形の中庭を取り囲む回廊のアーチの下には、イスラム建築の特徴の一つ繊細な装飾を施した美しい円窓も備わっています。

 

回廊の奥にある宗教美術はもちろん、ファサードにある12使徒の彫刻、聖堂内のバラ窓も素晴らしいので、ぜひご覧ください。上部はゴシック、下部はロマネスク様式で作られているところも必見です。

 

ラス・ファレーラス水道橋

ローマの高い建築技術が見られると、タラゴナ郊外の山中にあるにもかかわらず、観光客に人気のスポットです。
スペインに現存する水道橋の中でも、セゴビアに次ぐ、No.2の規模を誇っています。実は、「悪魔の橋」と嫌な名前が付けられています。こんなに大きな橋が短期間で作られたことに驚いた人々は、「この橋を作ったのは悪魔の仕業に違いない」と噂したことから、「悪魔の橋」と嬉しくない呼び名が付けられました。

 

北から南へと続く巨大な水道橋の橋部は、長さが217mあり、高さの最大部分は27mもあります。2層のアーチ構造となっており、柱の太さは1.8m。上部には25のアーチがあり、下部は11のアーチで支えています。この水道橋には、幅1mの水路があり、ここを歩くことができます。タラゴナの2000年もの時の流れと青い空と周辺の緑を満喫しながら、水道橋を歩くのは最高の贅沢ですね♪

 

考古学の道と国立タラゴナ考古学博物館

ローマ軍が侵攻した時に作られたタラコ時代の城壁も見物です。多くの戦いを見て生きた生き証人としての歴史的価値があり、修復を重ねた跡はその長い歴史を感じられます。特に16~18世紀には大修復が行われており、城塞としての機能も加えられたようです。城壁に沿って遊歩道が整備されており、「考古学の道」と名付けられています。

 

考古学博物館には、ローマ時代の貴重な歴史資料が展示されています。特に必見なのはモザイク画。「メデューサの首」のモザイク画は、保存状態が良好で素晴らしいと高い評価を受けています。タラゴナに残る彫刻作品など、数々のお宝には目を見張るものがあります。

 

まとめ

タラゴナには他にもローマ劇場跡など至るところに遺跡が残されています。遺跡と遺跡との間を縫うように、この地に住む人々の生活空間が作られている景観は、タラゴナならではのユニークな風景です。遺跡を上手く利用した芸術的な建築物を見て回るのも、タラゴナ観光の醍醐味かも。

 

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