ペルー

遥か昔にペルーの大地に描かれた巨大画!ナスカとパルパの地上絵

「ナスカとパルパの地上絵」は、ペルーの南部ナスカとフマナ両平原の乾燥した大地に現れる巨大な古代アート。この砂漠地帯には、動植物の絵や幾何学の図形など、700を超える地上絵が描かれています。未だに詳細は謎のままで、研究者をはじめ現代人を魅了してやみません。今回は、南米ペルーの世界遺産「ナスカとパルパの地上絵」をご紹介します。

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「ナスカとパルパの地上絵」とは

「ナスカとパルパの地上絵」は、ペルーの首都リマから約400kmの不毛乾燥地帯に、約450平方キロメートルにわたって、古代人が描いた巨大な地上絵のこと。これらは、アンデス山脈と太平洋に挟まれた乾燥した大平原に、今から1000年以上前に描かれたもので、インカ期ナスカ文明の時代に描かれました。また、インヘニオ川を越えた平原にあるパンパの地上絵は、ナスカより更に古い時代のものです。

文字文化が無かったため未だに多くの謎に包まれ、ナスカ文化との関連性も指摘されています。4mほどのものから数kmを超えるものまであり、この巨大なアートはセスナなどで天空から見なければ、何が描かれているか分からないほどの大きさです。

地上絵は、1939年6月22日にアメリカの考古学者ポール・コソック博士によって発見され、彼の調査により遺跡群の存在が明らかになりました。その後ドイツの女性数学者マリア・ライヒェが一生をかけて、この地で地上絵の解読作業と保護活動をすると決意し、この地に住み私財を投じて研究に勤しみましたが、1998年に彼女は病死しています。

『ナスカとパルパの地上絵』は、人類の創造的天才の傑作、文化的伝統・文明の稀な証拠、歴史上重要な時代を例証する優れた例として認められ、1994年に世界文化遺産として『ナスカとフマナ平原の地上絵』の名前で登録。2016年に現在の『ナスカとパルパの地上絵』と名称変更されました。
登録基準は、文化遺産(ⅰ) (ⅲ) (ⅳ)です。

マリア・ライヒェが守ってきた遺跡群ですが、心無い旅行者の悪戯、送電線や違法道路の敷設による線の遮断、観光用飛行機の墜落、エルニーニョ現象により、地上絵の消滅が危惧されています。
山形大学の人文学部坂井正人教授らの研究グループにより、2011年に2点、2013年に2つ並んだ人物、2015年に24点、2019年には143点もの新しい地上絵を発見したと発表されています。

アクセス

リマから長距離バスで約7時間。観光がセットになった飛行機での観光は、ピスコやイカ、ナスカから参加できます。

「ナスカとパルパの地上絵」の雑学


赤黒く変色した石で覆われた地表に、幅20~30cm、深さ5cmにも満たない溝を掘り、明るい粘土質のクリーム色層を露出させた、色の変化で作られたミステリアスな地上絵。現在も研究者たちが躍起になって謎を解いています。これまでに判明したことは、地上絵の持つ意味全てのほんの一部で、更にどんな謎が解明されるか期待も大きくなっています。

地上絵はどうやって描かれた?


地上絵の隅に縮図が発見されたことで、拡大法で書かれたことが有力説となっています。地面にまず、小さな絵を描きその絵に杭を打ち、そこから紐を使って木の棒を取り付け原画と同じ線を引くというもの。弧を描く線は、何本もの杭を打って描いたようです。
また、下絵から等倍率に杭を打ち放射線状に紐を広げたり、石を並べて目印にしたりしたことも分かっています。

地上絵にはどのような意味があるの?


地上絵が描かれた意味については、研究が進められるもまだはっきりした理由は分かっていません。

「雨乞い説」

雨の化身の蜘蛛や雨を運ぶコンドルなどが描かれていることから、雨乞いなど農耕儀礼は有力説のひとつ。

「暦説」

発見者のポール・コソックや研修者のマリア・ライヒェが唱えたのが、暦説です。夏至や冬至、太陽の位置を示したことが多いことからも、暦に使われていたとの説が生まれたようです。乾季や雨季を知りたかったのが主な目的とか。

「水脈説」

雨が降らない砂漠地帯だけあり、水は宝物でした。地下水を頼りにしており、水脈の位置を正確に把握していたと考えられています。灌漑技術も高度だったとの研究結果も出ています。

どうしてナスカ文明と関連性があると思われた?


ナスカ文明期の陶器に描かれた、動物などの絵に共通点があるからだといわれています。地上絵が描かれたのは、ナスカ文明後期の最も繁栄したころの1~6世紀のころです。関連はあったことは、間違いないでしょう。

どうして、長い間発見されなかったの?


ナスカの地上絵があるアンデス一帯は、16世紀ごろにスペインの植民地とされました。彼らは砂漠地帯には興味を示さなかったため、遺跡は見つかること無く20世紀まで存在が忘れられていました。
また、この地には雨が少なく、地表近くには空気の層ができているため、風を防ぐことができ、破壊されることなく残ったようです。

「ナスカとパルパの地上絵」のみどころ


地上絵には、ハチドリ、コンドル、ペリカン、猿、犬、蜘蛛などの生き物や魚や花、幾何学模様や架空の人物、星なども描かれています。

ハチドリ


ナスカで最も保存状態がよく美しいとされる地上絵が、ハチドリです。翼は66m。夏至の太陽を示すといわれるくちばしは40mもあります。

コンドル


全長135mのコンドルは、翼だけでも68mある巨大な地上絵。固有種のチャウカトという尾の長い小鳥という説も。


30mの長い尾ぽが渦巻状になっているのがユニークです。

宇宙飛行士


全長32mの架空の人物画。宇宙飛行士が一般的ですが、顔はアンデス地方の知識の女神フクロウに似ていることから、フクロウ人間とも呼ばれています。

まとめ


未だにミステリアスな「ナスカとパルパの地上絵」。2019年に発見された、143の地上絵の中には、鳥などのメジャーなものからラクダなどの珍しいものまであるようです。小型飛行機で天空から見るのはもちろん、マリア・ライヒェが観測のために立てたミラドールという展望台から「木」と「手」の地上絵を見るのも王道です。

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