フランス

フランスにあるヨーロッパ最古の現役運河!ミディ運河とは?

世界で有名な運河といえば、スエズ運河やパナマ運河が頭に浮かぶでしょう。美しい運河といえばイタリアヴェネツィアの「カナル・グランデ運河」ですよね。南フランスにも心の底から美しいと思える「ミディ運河」があるんです。まだ、世界に鉄道も車もなかったルイ14世の時代に、国家のプロジェクトの一環として造られた大切な遺産です。フランスのカルカッソンヌにある、もう一つの世界遺産『ミディ運河』をご紹介します。

 

フランスの美しい文化遺産ミディ運河とは

ミディ運河は、地中海からトゥールーズを経てイベリア半島とヨーロッパを結ぶルート上にあり、産業革命への端緒となった運河です。スペインとの国境にある小さな街カルカッソンヌに位置しています。フランスでもモンサンミッシェルに次いで人気の世界遺産「歴史的城塞都市 カルカッソンヌ」の陰に隠れて控えめな世界遺産ですが、実は素晴らしい遺産です。

 

「二つの海を結ぶ運河」といわれるミディ運河は、1996年に世界遺産に登録されました。登録基準は、文化遺産(ⅰ) (ⅱ)(ⅳ) (ⅵ)です。この運河建設にかかった費用の約半分を、ルイ14世自身が費用を出してまで建設した、中世後期の南仏の人々にとっても、大切な運河です。

 

ミディ運河建設の歴史


地中海と大西洋を結ぶ水路は、トゥールーズからカルカッソンヌの間が陸路のみで途切れていました。しかも、カルカッソンヌから地中海に続くオード川は、水量が乏しく乾季には小舟すら通れない難路だったのです。

 

カルカッソンヌは昔から交通の要所として栄えた都市でしたが、船舶を使って運んでいたフランス産のワインは、スペインのジブラルタル海峡を通る遠回りのルートを取らざるを得ず、スペインには通行税を徴収され、かなりの負担を強いられていました。

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この状況の打破する提案をしたのが、ベジエ出身の徴税吏ピエール・ポール・リケです。彼は、運河を作り航路を約3000kmも縮め、スペインへの通行税も削減できる画期的なもの。ルイ14世は国家プロジェクトとして、運河建設を許可しました。ミディ運河のルートは、2世紀の初めごろに既に考えられており、中世ではヨーロッパの父と称されるカール大帝が調査していたという記録が残されています。

 

着工したのは1666年。総延長360km、閘門(ロック)、水路橋や100を超える水門など、328の構造物を持つ壮大なもので、当時としては最先端の土木技術を集結して建設されています。工事は難航し、国費だけでは賄うことができず、ルイ14世の自費もつぎ込まれて完成しました。

リケも、自身の家財や娘の持参金をつぎ込んだとか。そのリケは完成を見ずに亡くなり、その後は息子が引き継ぎました。リケの死から7か月後の1681年に完成しています。この運河ができたことにより、南仏のワインの出荷量は劇的に増え経済は潤いました。

 

14年もの歳月をかけて造られた運河ですが、残念なことに19世紀末にミディ鉄道が開通したことにより、運河としての役割を卒業することになりました。

 

ミディ運河のみどころ

リケは、建築物としての美はもちろん、周辺との景観美にも拘っており、現在でも芸術作品と称されています。この景観美を1~2時間かけてクルーズでゆっくり楽しむ、運河クルーズが大人気。一番のみどころは、フォンセランヌの7段ロックです。高低差を補うために造られた、当時の技術を見学できます。

 

運河の両側にある遊歩道には、45000本もの糸杉などが植えられています。並木の美しさはクルーズにも一役かっていますが、南仏らしい景観を楽しみながら水辺を散策するのも一興。当時のルイ14世やリケの熱い思いが伝わってくるようです。

 

まとめ

南仏の美しい青空と景色の中で経験する運河クルーズは、カルカッソンヌに訪れたらぜひ味わいたいもの。できれば、シテ内のホテルに1泊して、「歴史的城塞都市 カルカッソンヌ」とセットで楽しむのもおすすめです。

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