イタリア

世界が認めた美しい水の都!イタリアの世界遺産「ヴェネツィアとその潟」

ヴェネツィアは、中世イタリアにおいて地中海最強を誇った海運王国でした。運河の上をゴンドラに乗って遊覧したり、迷路のような裏路地を歩いたりすれば、ビザンツ、ルネッサンス、バロックの建物が立ち並ぶ、ヴェネツィアでしか見られない美しい街並みを見ることができます。今回は、イタリアの世界遺産「ヴェネツィアとその潟」を、ご紹介します。

 

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ヴェネツィアとその潟とは?


「ヴェネツィアとその潟」という地は、本土の沖約3kmに造られた人工の島です。118もの島々を400もの橋でつないでいます。張り巡らされた150もの運河は、まるで迷路のようです。人工島が造られたのは、500年も昔のこと。湿地に数え切れないほどの杭を打ち込んだ浮島の上に街を形成したのが本島の始まりです。

 


ヴェネツィアは、14~16世紀に香辛料を主とする、東西貿易の中継地として繁栄しています。繁栄で得たお金をつぎ込みフィレンツェやミラノ、ローマの貴族たちと共に、イタリアの芸術家たちを庇護し、ルネッサンスの発展にも尽力しています。ヴェネツィア派というルネッサンスが開花し、「アドリア海の女王」と称えられる美しい街ができ上がりました。

 


ヴェネツィアは、古くからしばしば敵の侵略を受けています。その時に役立ったのがこの潟です。足場の悪さは防御壁の役目を果たし、船を座礁させるなど、街を敵から守ってきました。元々、この潟はイタリアの侵攻から、逃れたゲルマン人が造った地です。湿地帯の上に造られた街は、軟弱で人が住むにふさわしい地ではありませんでした。しかし、ゲルマン人たちには、敵の侵攻を阻む絶好の土地だったのです。

 


ナポレオン率いるフランス軍の侵略による破壊からも逃れたヴェネツィアは、現在自然災害によってなくなるかもしれません。地球温暖化による高潮の影響や地下水や天然ガス採取による地盤沈下など、常に水没の危機に晒されています。現在では悲しいことに、「沈みゆく都市」と呼ばれています。

 

『ヴェネツィアとその潟』は、1987年に世界遺産として登録されました。
登録基準は、文化遺産(ⅰ) (ⅱ) (ⅲ) (ⅳ) (ⅴ) (ⅵ)です。
(ⅰ)1~(ⅵ)6までの文化遺産の要素を全て兼ね備えているのは、中国の「莫高窟」と「泰山」の3件だけです。

 

アクセス

マルコポーロ空港から、サン・マルコ広場までヴァポレット(船)で約1時間10分。エアポートバスは、ローマ広場まで約20分です。

 

ヴェネツィアとその潟のみどころ

美しさはナポレオンのお墨付き「サン・マルコ広場」


街の中心に位置し、海運王国時代のオーラを放つ、サン・マルコ広場。巨大な広場の周辺には、ヴェネツィア観光の中心となるスポットが集中し観光の拠点にもピッタリです。

 


そのものが美しく、かのナポレオンに「世界一美しい広場」といわせしめた広場です。幾何学模様の敷石は素晴らしく、周りの歴史的建築物を引き立てています。

 

400年の年月をかけて建てられた「サン・マルコ大聖堂」


エジプトから運ばれた、「聖マルコ」の聖遺骸を祀るために建てられました。最初は828年に建てられています。11世紀に再建され、その後は増改築を繰り返し現在のものとなりました。

 


イスラムのモスクを思わせる、5つのドームが印象的。金で飾られた正面の半円アーチには美しいモザイク画があります。左手側には、13世紀に書かれたものもあります。正面頂上部には、聖マルコが立っており、その下にはヴェネツィア共和国の紋章で、ヴェネツィアの象徴とされる有翼の獅子が立っています。

 


聖堂内は煌びやかな黄金の装飾が施され、目を見張るほどの豪華さです。宝物室の、十字軍の戦利品も見る価値あり。

 

牢獄にもなった「ドゥカーレ宮殿」

ヴェネツィア共和国時代の、総督邸兼政庁です。創建は9世紀で、14世紀にはゴシック建築の美しい建物に改築されました。1階部分のイスラムの柱廊や、2階部分の壮麗な回廊は必見です。

 


16世紀のルネッサンス後期には、ヴェネツィア派の芸術家たちが、壁画や天井画などを描きました。「大評議会の間」にある、世界最大級の「天国」という名前の油絵も魅力的です。

 


「ため息橋」と呼ばれる小さな橋があり、宮殿が牢獄として使われていたときに罪人が通った橋です。この橋を一度通ると二度と戻ってこられないと、「ため息」をついて渡ったことから名前がつきました。カサノヴァが脱獄した、有名な牢獄はもうありません。

 

大鐘楼


見張り台として使われていた、高さ100mの鐘楼には絶対に上りたいもの。1902年に一回壊され、1912年ごろに再建されました。建物は倒壊するも、鐘は奇跡的に壊れず、現在も新しい見晴らし台の中で鳴り響いています。

 

見晴らし台からは、ヴェネツィアを360度見渡せるので、干潟の様子を見ることができます。また、頂上部分には、風見鶏のような役割をする、黄金のガブリエレ大天使像が光っています。

 

カナル・グランデに掛かる有名な橋「リアルト橋」


13世紀に架けられた大運河最古の橋です。建てられた頃の橋は木造でしたが、16世紀に大理石の屋根付き橋になりました。橋の周辺は、ヴェネツィア発祥の地といわれ、集落が最初に造られたそうです。

 


中央部分のテラスからの眺めを楽しんだり、橋の上にあるお土産屋さんを見て回ったり色々な楽しみ方ができます。夜のライトアップもステキ!

 


また、橋からの眺望がお好きな方は、1933年に造られた木造の素朴なアカデミア橋も合わせて見学してはいかがでしょう。

 

ヴェネツィアの美しい建物が軒を連ねる「カナル・グランデ建築群」


ヴェネツィアを二分するように流れる大運河(カナル・グランデ)。「世界で最も美しい通り」と呼ばれ、さまざまな様式の建物が両岸に立っています。この建物は、中世にこの地を牽引した貴族や大商人たちの邸宅です。先ほどご紹介した、リアルト橋をはじめ、4つの橋が架かっています。

 


小運河も大運河も楽しめるゴンドラクルーズは、ヴェネツィアに来たら体験したいことの王道です。建物の間をゆったりと進むゴンドラの上で、船頭さんの話を聞きながら眺めてみてはいかがでしょう。活気に満ちた、ヴェネツィアの日常も垣間見られますよ♪

 

島観光も外せません!世界遺産の島々


ラグーナにある小島も共に、世界遺産に登録されています。特に、ヴェネツィアングラスの本場「ムラーノ島」やカラフルな家並みが印象的なレースの島「ブラーノ島」は必見です。
ブラーノ島のガラス博物館では、ヴェネツィアングラスの歴史を、職人が目の前でガラス製品を作る姿を見られる工房見学も◎。

 


また、ヴェネツィア映画祭の会場としても有名なリド島は、ホワイトサンドのビーチがあり、イタリア屈指のリゾート地といわれています。

 

まとめ

いつ水没するかわからない、世界遺産のヴェネツィア。食べ物がおいしい春や秋が、ベストシーズンといわれていますが、冬の風物詩「ヴェネツィアのカーニバル」の時期もおすすめです。仮面舞踏会に参加している気分で、参加してみてはいかがでしょう。

 

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