ルネサンスとは、14世紀末~16世紀にイタリアでおこった近代文化の礎となった大文化運動です。「花の都」と賞賛された、フィレンツェの指導者「メディッチ家」の庇護のもとで開花したルネサンスとはどんなものでしょう。今回は、「イタリアで花開いたルネサンス」についてお話ししたいと思います。
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もくじ
ルネサンスとは?
ルネサンス(Renaissance)とは、ラテン語で「再生」を意味する言葉です。日本では、主に「文芸復興」と訳されています。古典時代の、ギリシアやローマ文化を復興しようとする、学問や芸術上の革新運動のことです。
14世紀初頭のフィレンツェはヨーロッパ最大の都市で、人口20万人を要していました。ルネサンスはそのフィレンツェで始まり、15世紀には最盛期を迎えています。芸術家たちのパトロンだった「メディッチ家」の衰退と共に、16世紀ごろからフィレンツェのルネサンスは残念ながら少しずつ影を潜めます。
しかし、ルネサンスは、15世紀末におこった大航海時代や、16世紀の宗教革命、イタリア統一戦争など、世の中の流れにのってヨーロッパ全体に広がっていきました。現在も、ヨーロッパ各地で、華やかなルネサンス時代の名残を見ることができます。
ルネサンス期の三大巨匠とは誰?
ギリシアやローマ時代の文化を復興させる過程で、新しい文化を創り出したルネサンス期。思想、文学、美術、建築など、その影響は多方面にわたっています。そのルネサンス期の代表とされる三大巨匠をご紹介します。
美術では、「古典への傾倒と復興」、「人間性への回復」を掲げ、写実的また立体的な芸術へと発展していきました。ルネサンス期の三大巨匠の、「ダ・ヴィンチ」「ミケランジェロ」「ラファエロ」は、後の芸術家たちにも影響を残しています。
ダ・ヴィンチ(1452~1519)
フィレンツェ近郊のダ・ヴィンチ村で生まれた「万能人」と呼ばれ、美術だけでなく科学者としても成功を収めています。解剖や工学にも精通していた、才能豊かな人物です。
代表作は、神秘的な微笑で有名な『モナ=リザ(パリ・ルーヴル美術館)』や、キリスト最後の夜を、透視遠近法を用いて臨場感あふれる作風で描いた『最後の晩餐(ミラノ・サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会とドメニコ会修道院)』、ダ・ヴィンチが修業時代の20歳を過ぎたころに描いた事実上のデビュー作『受胎告知(フィレンツェ・ウッフィッツィ美術館)』です。
ミケランジェロ(1475~1564)
フィレンツェ近郊のカプレーゼで生まれた芸術家。メディチ家はもちろん、ローマ教皇の庇護を受けて才能を開花させました。絵画はもちろん、建築や高い写実性で卓越した彫刻作品も数多く残しています。
代表作は、巨大な大理石像で、フィレンツェ共和制の自由と独立の象徴とされる『ダヴィデ像(フィレンツェ・アカデミア美術館)』や「この世の終末での神の審判」を描いたミケランジェロの代表作として知られるフレスコ画『最後の審判(システィーナ礼拝堂の祭壇側の壁一面)』です。
ラファエロ(1483~1520)
聖母などを優美に描く才能に長けており、恋多き芸術家として知られています。愛人を多く持ち、彼女たちをモデルに多くの作品を残しています。特に繊細でバランス感覚に秀でた絵画は、美の基準として崇拝されました。多くのパトロンを持つも、37歳という若さで亡くなったため「早逝の美青年」とも呼ばれています。イタリア・ルネサンス芸術は、ラファエロの死を持って終焉とされることが多く、その後はマニエリスム(ルネサンスとバロックの間におこった芸術様式)へと続いていきます。
(シャルルマーニュの戴冠)
『ヒワの聖母(フィレンツェ・ウッフィッツィ美術館)』や『小椅子の聖母(フィレンツェ・ピッティ宮殿)』など、多くの聖母画を残しており「聖母の画家」とも呼ばれています。また、ヴァチカン博物館のラファエロの間には、『聖体の論議』や『アテネの学堂』など、4つの壁画が描かれており、人間精神世界を表現しています。他にも、『アダムとイヴ』や『シャルルマーニュの戴冠』なども有名です。
メディチ家とは?
(ヴェッキオ宮殿)
メディチ家がなければ、ルネサンスは花開かなかっただろうといわれるほど、影響力の大きかったイタリアの富豪です。銀行を設立し膨大な財力を蓄えました。その後、フィレンツェで300年にわたって事実上の権力者として君臨しています。
中でもロレンツォは、芸術家たちを保護しパトロンとなり、ルネサンスの発展に大いに貢献しました。三大巨匠のミケランジェロやラファエロは、もちろん、『春(プリマベーラ)』で有名なボッティチェリなど、多くの芸術家たちのパトロンとなっています。
(メディチ・リッカルディ宮殿)
メディチ家の栄光を辿る歴史的建築物が、フィレンツェにはたくさんあります。「メディチ家礼拝堂」や「ヴェッキオ宮殿」、「メディチ・リッカルディ宮殿」や「サン・ロレンツォ教会」、「ピッティ宮殿」などは特に有名です。もし時間があれば、「サンタ・マリア・ノヴェッラ」という、メディチ家ゆかりの歴史ある薬局に訪れるのもおすすめです。
まとめ
フィレンツェを作ったといっても過言ではない、メディッチ家があったからこそイタリアでルネサンスが花開きました。芸術的名作が次々と生まれた、華やかなイタリア・ルネサンス時代を肌で感じながら旅してみませんか?
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