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日本一美しく神秘に満ちた山!『富士山―信仰の対象と芸術の源泉』

日本最古の歌集『万葉集』の歌枕に使われたことをはじめ、日本最古の物語とされる『竹取物語』など、古くから日本人に愛されてきた富士山。「霊峰富士」と呼ばれ、古来より信仰の対象とされています。日本の象徴の富士山ですが、なかなか世界遺産に登録されず、2013年にやっと登録されました。今回は、日本の象徴『富士山―信仰の対象と芸術の源泉』をご紹介します。

 

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「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」とは?


富士山は、日本一高く美しく気高い山で、昔から日本人の精神と文化面を支えてきた山といえるでしょう。その美しい姿と雄大さに、葛飾北斎の『富嶽三十六景 凱風快晴(赤富士)』や「ダイヤモンド富士」など、昔から画家や写真家たち芸術家も虜にしてきました。標高3,776mと日本一の高さを誇り、登山を楽しむ人々も後を絶ちません。

 

『富士山―信仰の対象と芸術の源泉』は、2013年6月に世界遺産として登録されました。
登録基準は、文化遺産(ⅲ) (ⅵ)です。

 


富士山の価値を証明する文化資産25ヶ所が世界文化遺産に登録されています。中には、世界自然遺産じゃないの?と思っていらっしゃる方もいると思いますが、富士山は世界文化遺産です。

 

アクセス

新宿駅からJR特急スーパーあずさ又はかいじで大月駅まで約58分。JR富士急行線で河口湖駅まで約50分。

 

信仰の対象としての富士山


日本のシンボルとされる富士山は、古くから霊峰として多くの人々の信仰を集めました。富士山そのものが神聖視されており、遠くから拝む「遥拝」や信仰目的で登る「登拝」、江戸時代になると富士山に巡礼として集団で登る「富士講」などが行われています。山頂には浅間大社(奥宮)があり、富士山の神様が祀られています。

 


構成資産のひとつ「富士山本宮浅間大社」は、富士山の大噴火を鎮めるために、紀元前3年ごろに富士山足に建てられたのが始まりです。浅間大神とコノハナサクヤビメが主祭神となっており、全国に約1,300ある浅間神社の総本社となっています。

 


また、富士山の信仰が進むにつれ巡礼路が造られました。富士五湖や山麓に湧く水などを聖水とし感謝するという伝統が生まれたのも富士山でした。このような考え方が、現在の富士山巡礼の形式や精神に影響を与えています。

 

芸術の源泉としての富士山


冒頭でお話しした通り、富士山は和歌や物語、絵画などに昔から登場しています。かつて京都から鎌倉に都が移ったことで、東海道などこの間にある街道の往来が増え、富士山の存在が京都など各地で多くの人に知られるようになりました。

 


江戸時代(19世紀前半)には、歌川広重の『東海道五十三次』や葛飾北斎の『富岳三十六景』など、富士山を題材にした浮世絵が数多く描かれました。それらは、19世紀後半にはフランス印象派をはじめ、近・現代の西洋美術にも大きな影響を与えています。このような実績から富士山は世界に、「日本の文化の象徴」と認識されたようです。

 


浮世絵の影響といえばゴッホの『タンギー爺さん』がとくに有名ですが、他にも葛飾北斎の『冨嶽三十六景 駿州片倉茶園ノ不二』の影響を受けた、セザンヌの『サント=ヴィクトワール山』など、さまざまな絵画に影響を与えています。

 

構成遺産の魅力


4つの登山道や八合目の浅間大神など9件の構成要素がある、1,500m以上の重要な地域を範囲とした「富士山域」をはじめ、構成遺産は全部で25あります。

 

「世界遺産富士とことんガイド(参考)
http://www.fujisan223.com/reason/kouseishisan/

 

先ほどご紹介した「富士山本宮浅間大社」やその前身とされる「山宮浅間神社」、富士講信者が立ち寄る「冨士浅間神社」など7つの神社、富士講信者が登拝の際に宿や食事の場として使った最も古い屋敷「旧外川家住宅」やかつての宿坊の形態を今に伝える「小佐野家住宅」なども構成遺産です。

 


『羽衣』という物語の舞台になった、「三保の松原」からの絶景も有名ですね。景勝地としても知られる、富士の湧水で修行僧が水行を行った「白糸の滝」、新千円札に印字された逆さ富士が有名な「本栖湖(富士山域に含)」をはじめ「山名湖」や「河口湖」、忍野八海と呼ばれる巡拝地としてそれぞれに八大竜王を祀った8つの湧水地も構成遺産です。

 


(人穴富士講遺跡)
他にも、富士講の開祖とされる長谷川角行が修業し入定したと伝わる聖地「人穴富士講遺跡」や2つの胎内樹型も選ばれています。

 

富士山の魅力


富士山は、円錐形の端正な姿をしています。また、雪の冠を乗せた山頂から、裾野へ広がる立ち姿も魅力的!また、フジという文字は「不死」や「不二」とも書くことができ、縁起の良いものとされています。

 


富士山は、周辺から見る美しさが一番の魅力ではないでしょうか。桜と五重塔のコラボで有名な「新倉山浅間公園」や「本栖湖」の初日の出など、四季折々の富士山を、その時期で最も美しい場所から見るのも日本人ならではの贅沢かもしれませんね。

 


新名所としては、日本最長の大吊橋「三島スカイウォーク」から、日本一高い富士山を見るのもおすすめですよ♪

 

まとめ

静岡県側の表富士や、山梨県側の裏富士とよくいわれますが、どこから見ても美しい姿を見せる富士山は、日本人なら誰もが誇りに思う素晴らしい世界遺産です。頂上で太陽がピカっと光る「ダイヤモンド富士」や、朝日や夕日に照らされる「紅富士」の美しさも格別です。

 

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