ドイツ

ロマンティック街道の起点にある美しい館!ヴュルツブルク司教館

ヴュルツブルクは、ロマンティック街道の北の起点にある古都です。司教領主だったこの町には、ドイツ・バロック様式の代表作の一つといわれる司教館があります。今回は、ロマンティックな美しさに心踊らされるドイツの世界遺産「ヴュルツブルク司教館、その庭園群と広場」をご紹介します。

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「ヴュルツブルク司教館、その庭園群と広場」とは


古くから交易の要所として栄えたヴュルツブルクは、11世紀ごろに司教座がおかれ歴代司教のもとで発展し、現在もその栄華を醸す美しい古都です。マイン川の両岸には、たくさんの教会と美しいぶどう畑が広がっています。

街の中に堂々と立つ荘厳で美しい宮殿として人々の目を楽しませてくれるのが、「ヴュルツブルク司教館、その庭園群と広場」です。戦乱の世が終わり世の中が平和になった18世紀は、山上の城塞が不必要となった頃。司教ヨハン・フィリップ・フランツが、膨大なお金をつぎ込み街の中に宮殿を建てるよう命じたことから造られました。

天才建築家として名高いバルタザール・ノイマン氏が手掛けた、バロック様式の代表的な建造物として知られています。でも、この宮殿を建てた頃の彼は、若く無名でした。彼の他にも、イタリアやオーストリアから建築家や装飾家を集め、60年の歳月を費やし造営されました。

柱のないドーム型の天井となっている「階段の間」は、当時の常識では考えられず世間から「設計ミスだ」と批判されたようです。でも、ノイマンは「この館が砲弾を浴びても崩れない!」と自信をもって反論したとか。彼のいう通り、第二次世界大戦で街はほぼ消失するも、丈夫で軽く耐火性に長けた凝灰岩を使用しており、丸天井は焼けずに残りました。その後、破壊された鏡の間なども再建され現在は、人気の観光地となっています。

『ヴュルツブルク司教館、その庭園群と広場』は、人類の創造的才能と建築技術や科学技術の発展を証明する資産として認められ、1981年に世界文化遺産として登録。2010年に範囲変更されています。
登録基準は、文化遺産 (ⅰ) (ⅳ)です。

アクセス

フランクフルトからICEで1時間10分
同じくフランクフルトからヨーロッパバスで1時間35分

「ヴュルツブルク司教館、その庭園群と広場」のみどころ


フランクフルトから日帰りで観光できる、「ヴュルツブルク司教館」。日本語のプライベートガイドもあり、観光しやすい世界遺産といえます。ヨーロッパで一番美しいといえる館を見学し、美しい庭園を散策する優雅なひとときを過ごせます。

〇司教館
長さ167m高さ21mの中央棟とその左右には長さ92mの翼棟を備えた司教館は、どっしりと構えた外観も素晴らしい宮殿です。かのナポレオンが認めた、繊細で美しい340の部屋や5つの大広間と礼拝堂があり、現在42の部屋が公開されています。

・白の間

階段を上がって正面に位置する、白いレースのように繊細なスタッコ装飾が施されています。これはアントニオ・ボッシによるもので、ロココ様式の白で統一された部屋は優雅な雰囲気。前後の部屋は艶やかな色彩が施されており、視覚の効果を上手く使った演出も見どころです。

・鏡の間

金細工で装飾された部屋は、豪華絢爛の一言。裏から絵を描く特殊な技法が使われた600枚のヴェネツィアン鏡が、鏡の間を一層豪華に彩っています。かつて「皇帝の間」の控室だったこの部屋も、アントニオ・ボッシによるものです。

・皇帝の間

館の中でも豪華な部屋の一つとされる皇帝の間は、世界大戦の戦火を免れています。南側にある壁画は、1156年に皇帝フリードリヒとベアトリクスの結婚式を描いたもの。ヴェネツィアの巨匠ティエポロが描いた、天空を馬に乗ってかける太陽神アポロの天井画もダイナミックで見応えありです。

・階段の間

出典:ウィキメディアコモンズ
時間をかけてゆっくり見学したい、館内で一番豪華な場所。皇帝の間の天井画を描いたティエポロ作の世界最大の天井フレスコ一枚画です。この絵には世界の4大陸が描かれています。また、ノイマンの最高傑作といわれる階段も必見です。

〇庭園と広場

ヴェルサイユ宮殿のような幾何学模様の庭園には、綺麗に刈り込まれた生垣と放射線状の通路があり、自然環境とのバランスがよい心安らぐ構成となっています。また、庭園を彩る花々は、街の花屋にある花。決して華美でなく、優雅な宮廷を引き立てる控えめな美しさも魅力の庭園です。

・ホーフ庭園

華美過ぎず自然美をほどよく残した庭園も見逃せません。春から夏にかけてバラの花が美しいヴェルサイユ宮殿のような幾何学の庭園と、木々が生い茂りあたかも山深い自然の中を歩いているような気持にさせてくれる公園との調和も素晴らしいもの。「フランコニアの泉」と呼ばれる円形の噴水やキューピットなどの彫刻も巧みに配置されており、市民の憩いの場となっています。

・ホーフ教会

宮殿の南側に位置する、色鮮やかな大理石とゴージャスな金細工を施した柱が目をひく教会です。祭壇にはキリスト像が祀られており、その上から温かみのある姿で見下ろすマリアの姿もステキな教会です。

ヴュルツブルクゆかりの著名人


フランケンワインの故郷ヴュルツブルクには、日本人にも馴染みのある著名人がいます。ヴュルツブルクで誕生して医学を学び、日本の鎖国時代に来日して長崎の出島で活躍した「シーボルト」です。皆さんも教科書などで見たことがあるのでは?
もう一人は、1895年にX線を発見した「レントゲン」です。彼は、ヴュルツブルク大学で教鞭を奮っており、1901年の「第1回ノーベル物理学賞」を受賞しています。1度は皆さんも、レントゲンのお世話になっているでしょう。

まとめ


大司教が命じ作らせた豪華絢爛な館を訪れた後は、かつての栄華を感じながら古都ヴュルツブルクを散策するのもおすすめです。館ができるまで堅固な要塞として活躍していたマリエンベルク要塞や後期ゴシック教会のマリエンカペレなどの数多くの教会を巡るのもおすすめです。この地で醸造される「フランケンワイン」を味わうのもお忘れなく!

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