『レ・ミゼラブル』の著者として有名な「ヴィクトル・ユゴー」が、「世界で最も豪華な広場」と称賛し、フランスの詩人ジャン・コクトーが「豊穣なる劇場」と褒めたたえた、世界で最も美しい広場です。ベルギーの首都ブリュッセルの中心に位置し、中世の雰囲気を漂わせています。今回は、ベルギーの世界遺産「ブリュッセルのグラン・プラス」をご紹介します。
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もくじ
「ブリュッセルのグラン・プラス」とは
ケルンとフランドル地方の交易の要所として栄えたベルギーの首都ブリュッセル。「グラン・プラス=巨大な広場」という意味です。とはいっても、1周徒歩で僅か5分くらい。縦約110m×横約70mと小さな石畳の広場です。多くの文豪たちを魅了しており、中世の趣を彷彿とさせています。
12世紀ごろから、この広場は市場として繁栄し、13~14世紀にギルドたちが出現しました。広場の周りにはギルドハウスと呼ばれる、職人や商人たち同業者組合の建物など歴史的建造物が並んでいます。歴史的に悲しい出来事も起っており、1523年にはプロテスタント初の殉教者のヘンドリク・フォエスとヤン・ファン・エッセンが火刑に処せられました。
また、ブリュッセルは1695年にルイ14世の命を受けたヴィルロワ元帥率いるフランス軍の侵攻により、激しい砲撃でほぼすべての建物が焼失しています。石造りだった市庁舎だけは、被災を逃れました。その後焼失した建物も、ここに暮らしてきたギルドの人々によって、僅か4年で再建したという、歴史的にも重要な意味をもっています。現在残る建物はこの時に作られた建物で、焼失前の木造から変わり、バロック様式を取り入れた石造りの建物が連なる、美しい景観が作られたのです。
17世紀の歴史的建造物群は、市庁舎を中心にギルドハウス、王の家、ブランバン公の館などが立ち並び、見事な均衡を保っています。
『ブリュッセルのグラン・プラス』は、商業都市の成長と繁栄を如実に表現していることなどが認められ、1998年に世界文化遺産として登録されました。登録基準は文化遺産(ⅱ) (ⅳ)です。
アクセス
ブリュッセル中央駅より徒歩で約5分。
「ブリュッセルのグラン・プラス」の見どころ
「グラン・プラス」最大の見どころは、四方を歴史的建造物に囲まれた景観です。歴史的建造物を利用したショップやレストランもたくさんあります。各建物の装飾を見ながら歩くのも、中世に作られたギルドハウスで、ムール貝をつまみにベルギービールを味わうのもグラン・プラスでの楽しみ方です。市庁舎の1階には観光案内所があり、情報をGETできます。
市庁舎
言わずと知れて「グラン・プラス」のメイン!広場を堂々と見据える風格ある姿は見事の一言です。市庁舎以外の建物は、ルイ14世治世のフランスの侵攻により、焼失し再建しています。フランボワイヤン・ゴシック様式の美しい建物で、15世紀初頭建造の左翼と15世紀半ば建造の右翼はアンバランス。尖塔の高さは96mあり、頂にはブリュッセルの守護聖人ミカエルの像が輝いています。
料金:€6(英語ガイドツアー以外は入場不可。水曜14時、日曜11時15時16時)
ブリュッセル市立博物館(王の家)
市庁舎の真向かいに立つ、1536年建造の石造りの館です。ファサードの美しさが有名で、スペイン・ハプスブルク家の支配時代には、スペイン政庁や牢獄としても使われました。ブラバン公がスペイン王になったときに、「王の家」と呼ばれるようになりますが、実際には王が住んだことはありません。19世紀に後期ゴシック様式に改築され、現在は市立博物館となっています。ブリュッセルの歴史を語るお宝や小便小僧の衣装なども展示されています。
料金:€8、時間:10~17時、休館:月曜日
ブラバン公爵の館
グラン・プラスの東面にある、巨大な建物です。かつては6軒のギルドハウスでなっていましたが、現在はホテルやレストランが入っています。金箔をあしらった豪華なファサードの、2階部分には19人のブラバン公爵の胸像があることから命名されました。6つに分かれた各館には、右から財産、運命、風車、銅の壺、丘、財布と名付けられています。
ベルギービール博物館
ビール王国ベルギーの首都らしく、この広場にはベルギービール博物館があります。元々ビール製造者のギルドハウスで、市庁舎側のギルドハウスの真ん中に位置しています。18世紀のビール醸造に使った道具や現在の醸造方法も紹介されています。見学の最期には生ビールの無料サービスもありますよ!
料金:€5、時間:10~17時
セルクラースの像
グラン・パレスで最も古い館のひとつ「星の館」の外壁にある、1356年にブランドル軍から街を守ったことで英雄となったセルクラースのブロンズ像です。横たわる彼の像の左手に触れると幸運になるという言い伝えがあります。運試しにぜひ。
フラワーカーペット
2年に1度偶数年の8月15日ごろに行われる、大人気の花の祭典です。グラン・プラスが花で埋め尽くされます。花のカーペットの美しさは言葉を失うほど。これは、フランドル地方の造園家たちが小さなフラワーカーペットを作っていました。1971年から花の祭典としてイベント化したことから始まりました。実は、ベルギーは世界最大のベゴニアの産地で、100名の生産農家などがその年のテーマにより、早朝からベゴニアを敷き詰めます。有料ですが市庁舎のバルコニーから眺めると全体が見えるのでおすすめです。
ライトアップ
11月~1月のクリスマスシーズンと4~9月のハイシーズンには、音と光のショーが開催されプロジェクションマッピングも上演されます。特にフラワーカーペットがライトアップされる姿は幻想的です。時期が合えばぜひ。
まとめ
グラン・プラスでは、ご紹介した以外にも、9月上旬のベルギー・ビール・ウィークエンドなど、年にいくつかのイベントが行われます。ぜひ、お気に入りのイベントに合わせて訪れて、ベルギー自慢のチョコにワッフル、ビールを堪能してはいかがでしょう。