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新羅仏教芸術の最高傑作!韓国の世界遺産「石窟庵と仏国寺」

古都慶州には、新羅時代の貴重な遺跡が数多く残されています。今回ご紹介する韓国の世界遺産「石窟庵と仏国寺」は、7世紀後半の三国時代に高句麗と百済を滅ぼし朝鮮半島を統一した、新羅時代を彷彿とさせる遺跡です。2つの遺跡にはそれぞれ特徴があり、見比べながらの観光もおすすめです。

 

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石窟庵と仏国寺とは?

韓国の慶州市南部に位置する、石窟庵(ソックラム)と仏国寺(プルグクサ)は、新羅王朝の遺跡です。新羅王朝は紀元前57年から、紀元935年に高麗に滅ぼされるまで約1000年にわたって繁栄しました。

この偉大なる新羅王朝が残した遺跡は、「極東アジア仏教芸術の傑作」といわれており、1995年に『石窟庵と仏国寺』として世界遺産に登録されています。
登録基準は、文化遺産 (ⅰ) (ⅳ)です。

 

アクセス

慶州市の中心部から10番か11番のバスで約40分の仏国寺前バス停まで。石窟庵へは、更に仏国寺前バス停から、12番バス(1時間に1本)の石窟庵行きに乗り換えて向かいます。
仏国寺から石窟庵入口までは、約3kmの登山路あり。(石窟庵入口から石窟庵まで約1km)

 

石窟庵のみどころ


石窟庵は、忘れ去られた遺跡でした。1909年に郵便配達員が、夕立をやり過ごすために入った洞窟で偶然発見したものです。時の宰相金大城(キム・デソン)が751年に造営した、花崗岩を積み上げた人工窟で、中には前室と主室があり、主室の中央部分には、細やかな彫刻が施された蓮華の台座に座る、高さ3.48mの巨大な阿弥陀如来坐像が鎮座しています。花崗岩を丸彫りした如来坐像の凛としたお姿は、いかなる外敵からも国を守ろうとする意志を仏像に託したように見えます。

入口にある石像は周囲に散乱していたもので、仁王像や四天王像などの仏教の守護神たちが立っています。石窟庵は、ドーム型の天井に360個もの平らな石を巧妙に組んだ、この時代には類をみない発達した建築技法で造られており一見の価値あり。

また、如来坐像の周りの壁には、40あった内の38体の仏像彫刻が現存しています。如来坐像の額には宝石が埋め込まれており、朝日に照らされると神々しい光を放ちます。この遺跡では、新羅の仏教芸術の粋が集結しているそうです。寺院の格式が全て揃っており、仏教浄土が形成されています。

 

仏国寺のみどころ


仏国寺も同じく宰相金大城が、「都が仏の国のように平和であるように」との祈りを込めて、751年に新羅王朝の国力を挙げて建立した大寺院です。この時代に建てられた数多くの寺院の中でも最大の規模を誇っており、東南アジア一帯に広まった華厳思想に基づき「極楽浄土」を再現した華美なものでした(日本では、華厳の総本山の東大寺があります)。驚くことに最盛期には現在の10倍の規模で、大伽藍と木造建築物が80棟も立っていたとか。775年に完成しており、この地は新羅人たちにとっての理想郷であり仏教信仰の聖地となっていたようです。

しかし、1592年の豊臣秀吉の文禄・慶長の役でほとんどの木造建築が破壊されました。当時から残る石段や石垣の上に再建と修復を繰り返しており、現在の建物は1973年の大改修後に建てられたものです。
緑豊かな吐含山(トハムサン)の西麓に、位置しています。7つの国宝が現存し韓国の名勝・史跡1号にも指定されています。エリアは2つに分けられており、本殿の大雄殿を中心に青雲橋、白雲橋、紫霞門、泛影楼、左経楼、多宝塔と釈迦塔、無説殿など。極楽殿を中心に七宝橋、蓮花橋、安養門などがあります。

 

フォトジェニックなスポット蓮華橋と七宝橋


極楽殿に通じる橋で、極楽への悟りを開いたものだけが渡れると伝わっています。石造りの建築美が有名で、精巧な彫の石柱や欄干はもちろん、優美なアーチも魅力的。極楽殿に通じる安養門に架かる階段式の橋、青雲橋や白雲橋も美しい橋です。現在、4つの橋は共に通行禁止になっています。また、橋の左側は、記念撮影スポットで、メディアに登場する写真はココです。

 

必見観光スポット大雄殿と二つの塔


大雄殿は、1765年に再建された仏国寺の本殿です。中央には釈迦三尊像が祀られ、そのころには「幀画」がかけられています。

また、建立時からある多宝塔と釈迦塔は、大雄殿とセットでみるのがおすすめです。
東側にある高さ10mの多宝塔は、複雑な構造をしており、石造でありながら、木彫りのような美しい装飾がなされています。

下部から、四角、八角、円に変化する形は、悟りの段階を表しているとか。
一方西側にある高さ8mの釈迦塔は、直線のみで装飾がないシンプルな造りとなっています。この二つの塔には新羅時代の石造りの技術全てが結集しているといっても過言ではありません。

 

新羅仏像の傑作が鎮座する極楽殿と昆盧殿


大雄殿の隣には、木造建築の極楽殿があり、1925年に立て直されたもの。「金銅阿弥陀如来坐像」が鎮座しています。また、大雄殿の後ろには、毘盧殿があり「毘盧舎那仏坐像」を安置しています。この2つの仏像は新羅時代の仏像の傑作といわれています。

 

まとめ

石窟庵は質の高い世界有数の石像寺院です。紅葉が美しい仏国寺では、国宝や仏教美術など貴重な文化遺跡が残っています。また、幸福を招くといわれる丹青と呼ばれる極彩色模様を、魚型をした大きな木魚など至る所でみることができます。

 

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