インド

3つの宗教が共存するインド三大石窟のひとつ「エローラ石窟群」

アジャンター、エレファンタと並ぶ、インド三大石窟のひとつの「エローラ石窟群」。さまざまなインド美術を見ることができ、石の洞窟内はまさに“インド芸術の宝庫”です。しかも、インドで生まれた仏教やヒンドゥ教、ジャイナ教の3つの宗教が混在しており、各宗教の聖地となっています。

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エローラ石窟群とは?

インドデカン高原西部のエローラ山地の岩山にある宗教遺跡群です。岩山全体をくりぬいて一列に造られた大小34の石窟は、2.5kmと範囲は大きく全て西向きの巨大な絶壁に彫られています。最大の特徴は、冒頭でお話しした通り、世界でも唯一インドを代表する3つの宗教の聖地が共存していること。

 

南方北に向かって彫りすすめられた石窟群で、一番南にある第1~第12窟はエローラ最古のもの。ここから、ひたすら岩を掘り下げており、500年かけて造られました。3つの石窟群は、隣り合っているので、それぞれの違いやインド美術の移り変わりを見比べるのも楽しみ方のひとつです。

 

『エローラ石窟群』は、1983年に世界遺産に登録されています。
登録基準は、文化遺産 (ⅰ) (ⅲ) (ⅵ)です。

 

アクセス

ムンバイから飛行機でアウランガバードまで約45分。アウランガバードからエローラまでは、バスで約1時間です。

 

仏教石窟の見どころ


仏教寺院仏倚座像チャイティア(塔院)窟
一番古い南側の第1~第12窟が仏教寺院で、この寺院は3~8世紀に造られています。仏教寺院の中で一番の見どころは、10窟にはストゥーパの前に彫られた仏倚座像があるチャイティア(塔院)窟は、12窟の中で唯一のもの。他の11の石窟は、ヴィハーラ(僧院)窟となっています。

 

初期の仏教には仏像がなく、仏塔が礼拝の対象とされていました。このころから、仏像を崇めるようになりました。石窟の内部は涅槃の境地を現しており厳かな雰囲気です。さまざまな菩薩も彫られています。

仏教寺院を深く学びたいなら、同じく三大石窟群のアジャンター石窟群を訪れてから来られることをおすすめします。


仏教寺院第12窟ヴィハーラ(僧院)窟

ヒンドゥ教石窟の見どころ

現在インドで最も栄えている宗教といえばヒンドゥ教です。石窟群の大半を占めているのがヒンドゥ教で、6~9世紀に造られています。第13~第29窟(17窟)のヒンドゥ教の寺院です。数を見てお分かりのように、ヒンドゥ教の石窟が一番多く、仏教が衰退してヒンドゥ教が栄えはじめたことを見てとれます。

 

寺院内には、無限のエネルギーをもつといわれる、シヴァ神の象徴「リンガ」があります。リンガから生まれようとしている、生命のエネルギーが漲ったシヴァ像も見物です。


カイラーサ・ナータ寺院
エローラ石窟群最大の見どころは、入口からすぐにあるヒンドゥ教の第16窟「カイラーサ・ナータ寺院」です。8~9世紀に造営された、高さ34mもある巨大寺院。カイラーサ・ナータとは、シヴァ神が住むといわれるヒマラヤの聖山カイラーサの主との意味をもっています。

 


カイラーサ・ナータ寺院空中回廊

 


ジャイナ教シヴァ神
巨大な一枚岩を上からくりぬきはじめ100年かけて、幅45m、奥行き85mの寺院を造ったのです。回廊や祠堂、楼門や象の彫刻をはじめ、壁には神々の浮彫も見られます。

 

また、ヒンドゥ教の聖典、『マハーバーラタ』や『ラーマーヤナ』の物語を描いた帯状の装飾も素晴らしいもの。ヒンドゥ教を象徴する神の、世界を破壊し想像するシヴァ神は必見です。踊る姿が描かれた、躍動感あふれるシヴァ神を見ることができます。

 

この寺院自体がインド芸術の宝庫。まるで美術館のようです。
一番端には、美しい緑と滝がありちょっとした心のオアシス的なスポットになっています。

癒しの滝

ジャイナ教石窟の見どころ


ジャイナ教寺院
北側には第30~第34窟(5窟)ジャイナ教の寺院があります。9世紀ごろに造られたもので、新しいだけあり、彫刻の繊細さは感動もの。厳しい顔をして直立不動で修業するジャイナ教開祖の「マハーヴィーラの像」も彫られています。ジャイナ教の厳しい修行と何も所有せず金欲を守れという戒律を現しています。

 

天井には、3つの宗教いずれにも「聖なる花」とされている、蓮の花が彫られています。仏教と同じころに造られていたジャイナ教は、かつてインドに深く根付きました。

 

まとめ

3つのインドの宗教石窟は、隣り合っているので、それぞれの違いを見比べるのも楽しみ方のひとつ。インドの宗教の歴史を感じながら、巡ってほしい遺跡です。

 

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